大阪・関西万博の「復興応援イベント」に先週、長野県飯綱町のキノコ生産会社「ミスズライフ」がブースを出しました。「ミスズライフ」の能登工場は2024年1月の地震で被災。復興までの道のりや地震を生き延びて商品化した「奇跡のぶなしめじ」などを紹介しました。
大阪市で開催中の大阪・関西万博。お盆休みの期間、信州の企業が「復興応援イベント」にブースを出しました。飯綱町に本社を置くキノコ生産会社「ミスズライフ」です。
ミスズライフ・木内達也取締役:
「『復興』というテーマに1つのブースを出すので、週替わりで入ってくれる企業を募集していると話があり、一も二もなく飛びついた」
ミスズライフは、カットブナシメジ生産大手。県の内外8つの工場で年間約9700トンを生産しています。
2024年1月に発生した能登半島地震で、石川県・穴水町にある「能登工場」が被災。キノコを培養・育成する瓶、約280万本が散乱するなどの被害があり、能登工場の生産がストップしました。
当初、すべて廃棄する予定でしたが、片付け作業の中で、一部の瓶で「菌糸」が生きていることが確認されました。
ミスズライフ生産本部・小林光一本部長:
「震災を耐え抜いたと、その中でもキノコは生きていましたと、被災した皆さんに少しでも力になったり励みになればいいなと」
その後、「復活プロジェクト」を立ち上げ、生き残った菌糸を県内の工場に持ち帰り培養を進めました。
すると、長期培養で大きくなり、うまみ成分であるグルタミン酸やアラニンも通常の1.5倍含まれていることが分かりました。
震災を生き延びてさらにうまみを増しました。
「奇跡のぶなしめじ」と名付けて売り出すことを決めました。
ミスズライフ生産本部・小林光一本部長:
「生き物の生命力はすごいんだというのを改めて感じたところです」
スタッフ:
「奇跡のぶなしめじ、本日限りの販売です」
「奇跡のぶなしめじ」は2024年8月から2カ月間、全国のスーパーなどで販売。さらに、県庁の食堂で特別メニューも提供しました。
売り上げの一部は義援金に―。
特別メニューを食べた人:
「大きな地震があって被災された方もいらっしゃるので、直接支援できないがこういった形で支援できればと思って」
2024年10月には石川・穴水町の能登工場も復旧。地元住民を対象に「奇跡のぶなしめじ」入り焼きそばの振る舞いや詰め放題イベントも開催しました。
ミスズライフ・平松さん:
「皆さんの協力があってこのようにぶなしめじを提供できて皆さんの笑顔を見られるのは奇跡だと思うので(商品の)名前通りだなと思います」
こうした復興への歩みが主催者の目に留まり、万博の「復興応援イベント」への出展が決まったのです。
ミスズライフ・木内達也取締役:
「われわれの被災して復興したという話も伝えしたかったというのもあるし、万博というステージでキノコの良さを伝えるということをやりたかった」
来場者に通常のぶなしめじのオイスターソース炒めをふるまった他、奇跡のぶなしめじや復興への歩みなども紹介。また、キノコに関するクイズなども用意しPRしました。
7日間で3000人が訪れたということです。
ミスズライフ・木内達也取締役:
「本当に大丈夫なんだろうかと心配しながらやったんですけど、実際来られた人はノリノリで、『楽しかった』とか『おいしかった』とか(世界で)キノコブームみたいなのが起きてほしいなって」
世界に会社や日本のキノコをPRする機会を得た「ミスズライフ」。そのきっかけは「奇跡のぶなしめじ」です。名前通り「奇跡」を運んできました。