長年、特攻隊に関する展示を行ってきた大分市の予科練資料館の所蔵品が大分県護国神社に移されました。資料館を造った亡き父の思いを次世代へつなごうと奮闘した息子に、閉館から1年を迎えた心境を聞きました。
13日、大分市の寺の墓地を訪れたのは川野孝康さん(69)です。
◆川野孝康さん
「無事に閉館して、最後の集大成でこのようにつながっていけたということは非常に良かったと思っている」
墓に眠る父・喜一さんへの報告。
それは喜一さんが集めた大切な資料を別の場所へと無事に引き継いだということでした。
元特攻隊員の喜一さんは1988年、大分市上野丘の自宅を改修して、予科練資料館を開設。喜一さんの死後、長男の川野さんが管理を引き継ぎましたが、自分のあとの担い手がいないことから、2024年8月14日にやむなく閉館しました。
膨大な所蔵品は大分市の県護国神社に移されることになり、川野さんも引き継ぎに奔走しました。
◆川野さんの妹・萱島純子さん
「きれいになった。エンジンがきれいになった」
所蔵品の移設は2024年11月に完了し、県外に住む川野さんの2人のきょうだいも安堵しています。
◆川野さんの弟・川野浩二さん
「きれいな形で、ちゃんと管理もされて残るのが、一番良かったと思う」
◆川野孝康さん
「こうして大分県護国神社に展示されて、さらに多くの人が見学し、知られていくことがいいかなと思う」
戦後80年。生き残った特攻隊員の父が願った平和への思いは家族によって次世代へと引き継がれています。