ロシアによるウクライナ侵攻は止められるのか。
注目の米ロ首脳会談が日本時間16日の未明に迫っています。
アメリカの大統領選挙中トランプ氏は繰り返し「私なら就任から24時間以内に(ロシアとウクライナの)戦争を終わらせることができる」と発言していました。
そして就任後の2025年2月にはゼレンスキー大統領と首脳会談を行いましたが、前代未聞のののしり合いに。
「停戦が遠のいた」との見方が広がりました。
しかし7月、トランプ氏はロシアに対し…。
トランプ大統領:
50日以内に(停戦)合意が得られない場合、非常に厳しい関税を課す方針だ。約100%の2次関税だ。
それから1カ月後の日本時間の16日未明、トランプ氏とプーチン氏の会談が行われます。
ウクライナ侵攻終結の行方に関わる重要な会談ですが、トランプ側「私たちはウクライナのために(領土の)一部を取り戻そうとしている」と発言。
さらに、失敗の可能性が25%あると示唆したのです。
3年以上続くウクライナとの戦闘についてロシア国内では「ごく普通の期待ですね。私たちとアメリカの関係が正常化することを願います」「兄弟の争いのような戦勝が早く終わってほしい。ウクライナ人もロシア人も望んでいません」といった声が聞かれました。
約11時間後に迫った注目の米ロ首脳会談ですが、トランプ大統領プーチン大統領の双方の思惑は何なのでしょうか。
会談が行われるアメリカ・アラスカで取材中のワシントン支局の千田支局長そして、モスクワ支局の土井支局長に聞きます。
宮司愛海キャスター:
まず千田さん、首脳会談後に共同会見が行われるかといった点も注目されていますが、最新情報はありますか?
ワシントン支局・千田淳一記者:
毎日、ホワイトハウスは大統領の翌日の日程を発表するんですけども、数時間ほど前に私たちに知らされた日程には首脳会談後の共同会見が日程に盛り込まれていませんでした。トランプ氏は会談がうまくいかなければ1人で会見を行うかもしれないと話していますので、共同会見ありきで臨む首脳会談ではないとプーチン氏をけん制する動きとも見て取れるかと思います。
宮司愛海キャスター:
そしてトランプ大統領は今回の会談が2回目の会談の土台になる。そして、2回目の会談はプーチン氏、ゼレンスキー氏と会談と予定と話していますが、今回の会談で詳しい停戦の条件などについて話される予定はないのでしょうか。
ワシントン支局・千田淳一記者:
今回の会談はゼレンスキー氏を交えた2回目の会談につなげられるのかどうか、また、プーチン氏の停戦への本気度を見極める会談となります。ただ、トランプ氏は今日も領土の交渉について当事者同士の譲歩の必要性に言及していますので、停戦や領土も含めてプーチン氏に譲歩の意思はあるのかどうか、まずはそこを確認する会談となりそうです。
宮司愛海キャスター:
そんな中で、トランプ大統領が今回の会談について「失敗に終わる可能性が25%ある」と発言しました。なぜ25%なんでしょうか?
ワシントン支局・千田淳一記者:
トランプ大統領のこれまでの発言を聞いていますと、失敗する可能性をパーセントで示すのが非常に珍しいと思いました。トランプ氏は2期目に就任して以降、プーチン氏と少なくとも6回電話会談したとされています。ただ、何度やり取りしてもプーチン氏はウクライナへの攻撃をやめることはありませんでした。こうしたプーチン氏の姿勢に疑心暗鬼になっている。弱音を見せた可能性もあるかもしれません。
青井実キャスター:
そのプーチン氏の姿勢についてロシアの思惑を土井さんに聞いてみましょう。今回の会談に臨むプーチン大統領の交渉に向けた思惑、どう分析しますか。
モスクワ支局・土井若楠記者:
先ほど入ってきた情報ですが、プーチン大統領の到着に先立ちラブロフ外相が先ほどアラスカに到着し、記者団に対して、「我々の主張は変わらない」と話しました。ロシア国内でもこの会談への注目度は高く、国営メディアは「結果にかかわらずロシアの勝利だ」とすでに伝えています。アメリカがロシアの提示する条件を拒否すれば、今後の和平交渉に影響する恐れもありますし逆に、条件を受け入れればアメリカとヨーロッパやウクライナとの分断が深まる可能性があるとの見方です。ロシアとしては制裁の緩和や西側諸国の結束の弱体化を狙って、有利な条件で交渉を進めたい考えです。
一方、現在ロシアが支配するウクライナの領土に関しては「ウクライナは実態に即して現実を受け入れるべきだ」と主張していて手放す意向はありません。
青井実キャスター:
ウクライナのゼレンスキー大統領ですけども、ウクライナ国民は自らの土地を占領者に譲り渡すことはないと主張していますがもし、領土要求されたらどういうふうにするのか。今回の会談には参加しないゼレンスキー大統領の考えをどうみますか。
モスクワ支局・土井若楠記者:
領土に関するウクライナ側の主張は変わらないというふうにみられます。ゼレンスキー大統領は憲法に保障された領土を譲ることはないということをかなり強調して主張していますし、主権に関わるこうした決定を当事者であるウクライナ抜きで進めることに猛反発しています。
一方で、3者会談については前向きな姿勢です。ゼレンスキー氏はどのような形であってもプーチン氏と直接話をしたいという考えを示しています。どちらかというとプーチン氏側の準備ができていないのではないかとけん制もしています。
あとは、この会談のあとにアメリカ側からの連絡を待つというふうにゼレンスキー氏は話していますので、ロシア側からどういった条件が提示されるのか、そうしたところも慎重に見守る姿勢を見せています。
では柳澤さんに聞いていきます。今回の米ロ首脳会談いろんな思惑が渦巻いているわけですがどう見ますか。
SPキャスター・柳澤秀夫さん:
対面で首脳会談をやること自体には僕は意味はあると思うんです。これまでは電話だけの会談でしたけども実際に顔を突き合わせて会談する、そのチャンネルを作っておくという意味で。ただし、先ほど千田さんからのリポートの中にありましたが会談後の共同会見がどうも予定に載っていない。ということになりますとこれは共同会見をやるという前提は何らかの合意が生まれた時にやるという位置づけなんですよ。そうすると、多くは期待できない。
今回の場合、プーチン大統領にしてみるとアメリカからの新たな制裁をかわして、それでいながらトランプ大統領の顔を立てて時間を稼ぐというところにポイントがあると思います。一方のトランプ大統領は、ウクライナ問題での和平の立役者的なイメージそういう存在感をアピールしたいということだと思いますので、いずれにしても共同会見が設定されていないということがもし確実であるとすれば、このあと2回目の首脳会談をロシアでという話もありましたけども、そういう2回目の会談に道筋をつけられるかどうかが少なくともポイントになるんじゃないですかね。
青井実キャスター:
そういう意味では大筋である停戦にロシアが応じるのか。
SPキャスター・柳澤秀夫さん:
まずはこれはあり得ないと思います。しかもウクライナ抜きでの停戦の話というのはあり得ませんから。
青井実キャスター:
16日午前4時ごろ、明朝ですが共同会見があるのか、2人は立つのかそういったところも注目したいと思います。