瀬戸内市の国立ハンセン病療養所の入所者が、旧優生保護法のもと受けた不妊手術の記録を確認しようと、情報開示請求を行った当時のカルテに、受けたはずの手術の記録がなかったことが分かりました。

(長島愛生園 山本典良園長)
「実は、外科の古いカルテが見当たらない」
(長島愛生園入所者自治会 中尾伸治会長)
「はあ?」
(長島愛生園 山本典良園長)
「外科の医師たちがあまりカルテを書いていない」

カルテの開示を求めたのはハンセン病療養所長島愛生園の入所者、中尾伸治さん(91)です。

開示されたのは、中尾さんが約80年前に強制収容されてから紙で残されている診療記録などで、当時の中尾さんの写真や、21歳で園内の女性と結婚した時に旧優生保護法のもと受けた不妊手術に関する4枚の書類もありました。中尾さんは、手術を口頭で承諾していました。

(長島愛生園 山本典良園長)
「これは手術願いで、当然中尾さんが書かないといけない文書、こちらが、園側が勝手に作った書類」

(長島愛生園 山本典良園長)
「昭和31年5月24日に手術したが、外科のカルテがないので、この昭和31年5月の記載がないです」

(長島愛生園入所者自治会 中尾伸治会長)
「僕は一大事件だからよく覚えているが、あんまりごちゃごちゃ言いたくない」

国は2025年1月から、旧優生保護法のもと不妊手術などを受けた被害者や親族への補償を行っています。

中尾さんはこの4枚の書類や本人の証言などにより、補償を受けることができましたが、被害者が亡くなっている場合、カルテなどで手術の確認ができないと、遺族への補償が行われないことが懸念されています。

岡山放送
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