新見市で採取されたヒスイの中から世界で初めて発見された新しい鉱物、「アマテラス石」が話題となっています。見つけたのは地元のアマチュア研究家の男性。男性に当時のエピソードと思いを聞きました。
(発見者 田邊満雄さん)
「こちらがアマテラスを含むヒスイ輝石岩。黒緑色の部分が「アマテラス石」。こんなにすごいことになるとは夢にも思っていなかった」
新見市のアマチュア鉱物研究家、田邊満雄さん(62)。田邊さんは5年前の2020年11月、新見市の大佐山中腹の林道脇でヒスイを見つけました。
(田邊満雄さん)
「雪が降るか降らないかくらいの時期に、探査に入った。林道から横に入り、林道から横に入りを繰り返していたら、台風の大雨で崩れたとみられる場所があり、ヒスイの頭がポコッと(出ていた)」
田邊さんは採取したヒスイに小さな黒緑色の鉱物が複数含まれていることに気付き、以前から交流があった東京大学の研究チームに分析を依頼。鉱物の元素や構造を調べた結果、ストロンチウムやチタン、酸素などが主な成分の新鉱物と判明しました。2024年11月、国際鉱物学連合が新鉱物として正式に承認しました。
(田邊満雄さん)
「それはもうワクワク、ドキドキとワクワクの連鎖」
ヒスイは日本では古くから重宝され、2016年には日本の石文化を象徴するとして日本鉱物科学会が国の石、「国石」に選定しています。そのヒスイから見つかった新鉱物は、日本神話に登場する天照大神にちなんで「アマテラス石」と命名されました。
(田邊満雄さん)
「鉱物の結晶構造上、“二面性”を持っている。原子の配列が2つの“顔”を持っている。「それを強調した名前を付けたいがどうか」と(研究チームから)打診があった。天照大神が「和魂(にきたま)」と「荒魂(あらたま)」という二面性を持っている。天照大神からもらって「アマテラス石」と命名した」
アマテラス石は、岡山市北区の「人と科学の未来館サイピア」と新見市の中央図書館、道の駅鯉が窪に寄贈され、一般公開されています。
(田邊満雄さん)
「地学の世界は地味な世界で跡を継いでくれる人が少ない。子供たちに、新見にはこんなにすごいものがあることを知ってもらいたい。少しでも触れて、興味を持ってもらいたい」
田邊さんが世界で初めて新鉱物を発見したのは2003年に高梁市備中町で発見した「沼野石」に続いて2例目という快挙です。