8月11日は学校に関するお話です。宮城県名取市のある小学校には、学校ではおなじみの「あるもの」がありません。その秘密を調べました。

学校ではおなじみの「あるもの」がない?!

向かったのは、名取市立増田西小学校。去年、開校50周年を迎え、664人が通っています。こちらは6年生の教室。2時間目の授業中です。

「注目!これで2時間目の授業を終わります。」

至って普通の光景です。今度は昼休み。子供たちは校庭で元気に遊んでいます。

しばらくすると…。

子供たち
「もう戻る時間!もう戻るよ!戻りましょう!」

皆さん気が付きましたか?そう、増田西小学校には「チャイム」がないんです。その秘密を教頭先生に聞きました。

どうしてチャイムがないの?

名取市立増田西小学校 鈴木知子教頭
「2011年3月11日に起きた東日本大震災がきっかけです」

増田西小学校は、名取市の内陸にあるため津波の被害はありませんでしたが、体育館は4カ月ほど避難所になり多い時でおよそ600人が体育館で生活しました。

ある時、子供たちと避難している人たちの交流会が開かれたそうです。

名取市立増田西小学校 鈴木知子教頭
「体育館で休んでいるところチャイムが鳴って、なかなか体を休められないという申し出があり、そういった意見を聞いた子供たちから、チャイムをなくそうという取り組みが始まりました」

それがきっかけで2011年5月に、チャイムを鳴らさない「ノーチャイム制」を始めたそうなんです。

実は、宮城県内では小学校の4割がノーチャイム制です。理由は様々ですが子供たちが時計を見て行動する習慣につながっているようです。

増田西小の子供たちに聞いてみました。

6年生
「チャイムがないと、時間行動をするのが大切になるから、それが身につく」
Q.どんなことを心がけている?
「時計を見て早めに教室に戻ったり」
「2年生になってチャイムがないことに、だんだん慣れてきて、時間を見ながら行動するように」
「東日本大震災の時にチャイムが鳴ると、赤ちゃんとかが泣いちゃうから、なくなったというのは聞いたことがある。すごく誇り、誇りがあるなと思う」

名取市立増田西小学校 鈴木知子教頭
「これまでもチャイムを導入する・しないの話し合いは行われてきたようですが、子供たちの方から、自分たちで時計を見て、時間を意識して行動することができるので、チャイムはいらないという意見をもらっています」

ノーチャイム制は、避難してきた人たちを思う、子供たちの優しさから生まれた取り組みでした。

仙台放送
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