ガンダム宇宙世紀の名曲、仙台に集結
アニメ音楽に特化した仙台フィルハーモニー管弦楽団の「エンターテインメント定期演奏会」第5回が8月9日、仙台市泉区のイズミティ21で開かれた。今回のテーマは「『機動戦士ガンダム』シリーズ~宇宙世紀コンサート~」。シリーズを彩ってきた数々の名曲が、迫力のオーケストラサウンドでよみがえった。
仙台フィルが再びガンダムの世界へ
プログラムは、1979年の初代『機動戦士ガンダム』から連なる「宇宙世紀」を舞台にした作品を特集。『第08MS小隊』『Zガンダム』『ZZガンダム』『逆襲のシャア』『Vガンダム』などから選ばれた楽曲が披露され、全国から集まったファンで会場は熱気に包まれた。
『逆襲のシャア』の名曲が響くと、ブライト・ノア艦長の「何やってんの!」の場面を思い出す声が上がり、
『第08MS小隊』でノリス・パッカードが駆るグフカスタムが無双するシーンで流れた「Ⅶ」が演奏されると、
「怯えろ、すくめ!」と名台詞を口ずさむファンの姿も見られた。

約30年ぶり“幻の交響詩”がよみがえる
なかでも注目を集めたのは、1991年公開の劇場版『機動戦士ガンダムF91』のために書かれた交響詩「機動戦士ガンダムF91」。
CD収録のためにオーケストラで演奏された後、長らく舞台にかかることがなかったが、作曲者・門倉聡氏の自宅で偶然楽譜が発見され、今回のステージで約30年ぶりに再演された。
門倉氏は2日前から仙台入りしリハーサルに立ち会った。「若書きの楽譜が現代によみがえるのは恥ずかしい気持ちもあったが、仙台フィルの素晴らしい演奏に感激した」と振り返った。

ガンダム音楽を支えてきた作曲家たち
会場には『Zガンダム』『ZZガンダム』『逆襲のシャア』の音楽を手掛けた三枝成彰氏も来場。
三枝氏は「制作当時はアニメ音楽が純音楽より軽く見られる時代だった。こうして再び演奏されるのは複雑な気持ちもあるが、全国から訪れたファンに届けられてうれしい」と語った。

“エンタメ定期”が目指すもの
仙台フィルは2024年度からバンダイナムコグループと協力し、アニメやゲーム音楽に特化した「エンターテインメント定期演奏会」を開始。これまでに『コードギアス 反逆のルルーシュ』『Zガンダム』『逆襲のシャア』『アイカツ!』『魔神英雄伝ワタル』など、多彩な作品の音楽を取り上げてきた。
プロジェクトマネージャーであるチーフインスペクター美濃部敦さんは、「全国からファンに仙台へ来てもらう狙いもある。クラシック音楽は敷居が高いという先入観に対し、一つの入り口として提案したい」と話す。

音楽がつなぐファンとステージ
会場では、ガンダム関連グッズを手にした来場者の姿も多く見られた。演奏中には、うなずきながら聴き入るファンや、感極まって涙ぐむ人もいた。
失われかけた楽譜の再発見と、往年の名曲たち。仙台から全国へ、そして未来へ―。アニメ音楽とクラシックの垣根を越える挑戦は続く。
