学歴詐称問題をめぐり、伊東市議会の百条委員会から職員や議員の一部に見せた“卒業証書”とされる資料の提出を求められていた田久保眞紀 市長ですが、委員会からの請求を再び拒否しました。

伊東市の田久保眞紀 市長は市の広報誌に「東洋大学法学部卒業」と記載しながらも実際には除籍だったことがわかっていて、市議会では辞職を勧告すると共に事務手続きについて調べるため百条委員会を設置し、調査が行われています。

委員会は田久保市長に対し、一部の職員や議員に見せた“卒業証書”とされる資料の提出を求めましたが、憲法で保障された自己に不利益な供述を強要されない権利を盾に拒否したほか、出頭要請についても「回答が事実上不可能な内容を含むものであり、不適切な請求である」として応じていません。

これに対し委員会側は8月6日、いずれも正当な理由とは認められないとして、再度、出頭を求めると同時に“卒業証書”とされる資料の提出を請求しています。

こうした中、田久保市長は提出期限として定められた8月8日に市議会の中島弘道 議長などと面会し、前回と同様の理由で百条委員会からの請求を拒否する“回答書”を手渡しました。

回答書には「先に提出した回答書で述べた見解を維持します」「自己負罪拒否特権は、一定の場合には、証拠物の提出を拒むことができる権利を内包するものであると考えます。すなわち、当該物を提出することで、供述を拒む権利が実質的に侵害される場合であり、本件はそれに該当します」などと記されています。

一方、8月13日に期日が設定された委員会への出頭に応じるかは現時点で態度を明らかにしていません。

百条委員会は特に必要があると認められる場合には関係者の出頭や証言、記録の提出を請求することができ、正当な理由なく拒んだ時には6カ月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金を科されるほか、虚偽の陳述をした場合も3カ月以上5年以下の拘禁刑となるなど刑事罰が規定されていて、委員会側の反発は必至の状況です。

また、今回の提出拒否を受けて中島議長は田久保市長を刑事告発するとともに不信任決議案を提出する運びになるとの見方を示し、「百条委員会や市議会を軽視すること、ひいては市民を軽視している」と不快感をあらわにしました。

田久保市長をめぐっては公職選挙法違反の疑いを指摘した告発状がすでに受理されていることから警察の本格的な捜査が始まっていますが、代理人の福島正洋 弁護士は“卒業証書”について刑事訴訟法第105条で定められた押収拒絶権によって任意提出には応じない考えを示しているほか、強制捜査になったとしても差し押さえは「許されない行為」と牽制しています。

テレビ静岡
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