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プレスリリース配信元:株式会社博報堂

葛藤が「たまにある」人の75%が幸福、「まったくない」人を10pt以上上回る 「人生において実現したいことを持ち、適度に葛藤する」ことが幸福につながる可能性

株式会社博報堂(本社:東京都港区、代表取締役社長:名倉健司)の専門組織「生活者発想技術研究所」は、全国15~69歳の男女2,400人を対象に、既存の定点調査やアクチュアルデータでは十分に把握しきれていない生活者の内面に注目した新しい生活者調査を実施しました。
社会をとりまく課題が複雑化し不確実性が増していく現代では、理想と現実の間で相反する欲求に悩まされる場面が増える一方、行動には表れない生活者の欲求を掴むことは年々難しくなっています。そこで生活者発想を推進する博報堂生活者発想技術研究所は、複雑化する時代を生きる生活者の内なる欲求・想いを可視化するため、「アスピレーション(人生において大切にしたい/実現したい想い)」と「葛藤※1」に着目しました。本リリースでは、それらの実態や幸福感との興味深い関係をお知らせします。

【調査結果サマリー】
1.  生活者のアスピレーションの実態
- 調査対象者全体の69.3%が「アスピレーション」を持っており、年齢が若いほど高い
- 内容は「家族との時間を大切にした人生を送りたい」といった日常的なものから、職務や自己実現、自己啓発系まで多岐に及ぶ
- アスピレーションを持つ人の62.7%が「実践に向けて取り組めている」と答えた一方、達成まで至っている人は41.6%と半数未満にとどまる

2. 生活者の葛藤の実態
- 対象者全体の64.0%が生活の中で「葛藤」を感じており、葛藤の対象は性年代差が大きい
- 葛藤に対する気持ちは、対象者全体で「出来るだけ感じずに生きたい」の77.4%がトップだが同時に「必ずしも悪くないと思う」も高く(70.0%)、相反する想いを同時に抱えている

3. アスピレーション・葛藤と「幸福だと感じる人」の割合の関係性
- 対象者全体の69.8%が「幸福」と感じており、アスピレーションが「はっきりある」人は幸福と感じる人が最高(79.5%)、「まったくない」人は最低に(39.9%)
- 一方、葛藤は「たまにある」人で幸福な人が最高(74.9%)、「まったくない」人は最低に(57.7%)
- アスピレーションを強く持っているほど、葛藤は「適度に」あるほど、幸福だと感じている人の割合が高く出る傾向が読み取れる

※1:本調査では、葛藤を以下のように心の中に相反する欲求や想いが起こり悩むことと定義しています。
- A:「〇〇したいけど、●●もしたい」(どちらも同じくらいやりたいので、どちらを選ぶか悩む)
- B:「〇〇したくない(嫌だ)けど、●●もしたくない(嫌だ)(どちらも同じくらいやりたくないので、どちらを選ぶか悩む)
- C:「〇〇したいけど、●●はしたくない(嫌だ)」(1つのことの中にプラスとマイナスの要素が共存していて決めきれない)

【調査概要】
内なる欲求・想いに関する調査
調査地域:全国
調査対象:15-69歳男女(中学生除く)
調査数:2,400サンプル(全国の人口構成比に基づき、性別・年代別に割付)
調査方法:インターネット調査
調査日:2025年2月12日(水)~2025年2月13日(木)

【研究員所見】
今回のリリースでは生活者の内なる欲求と主観的幸福の関係を分析しましたが、一見ネガティブに捉えられがちな「葛藤」が“まったくない“人よりも “適度にある” 人ほど幸福だと感じる人の割合が高いという調査結果は、「コスパ」「タイパ」など何かと「パフォーマンス」や効率が重視される今の時代においても「何かを目指し・迷い・思い悩むプロセスと向き合うこと」が人生を豊かにするのだということを示唆しているように感じました。生活者発想技術研究所では、これからも生活者のアスピレーションや葛藤に関する研究を継続してまいります。

【調査結果詳細】
1.生活者のアスピレーションの実態
<参考資料1:アスピレーションの有無(TOP2)>
全国15-69歳のうち、「アスピレーション(人生において大切にしたいこと、実践したいこと)」が「ある」と回答した人は69.3%にのぼり、約7割がアスピレーションを持っていることがわかりました。年齢が若いほどその割合は高い傾向にありますが、男性では50代で再び上昇する様子も見られ、年齢を重ねるにつれて「一貫して低下する」とは言い切れない傾向も読み取れます。



<参考資料2:アスピレーションの実践度(TOP2)>
アスピレーションがある人のうち、「実践に向けて取り組めている」と回答した割合は、全体で62.7%でした。性年代別では、男性10代(66.7%)、女性20代(75.0%)がそれぞれの性別内で最も高く、若年層で実践度が高い傾向が読み取れます。一方で、男性40代(53.4%)・50代(51.4%)は、同世代の女性(40代:63.2%、50代:65.3%)と比べても大きく実践度が下がり、ミドル世代の男性がアスピレーションに向き合う難しさがうかがえる結果となりました。



<参考資料3:アスピレーションの達成度(TOP2)>
アスピレーションがある人のうち、「達成されている」と回答した人は全体の41.6%と、達成できている人の方が少数派であることがわかりました。その中でも、達成度が最も高かったのは、男性では10代(44.0%)、女性では20代(50.6%)と、こちらも若年層に集中しています。対照的に、男性40代(28.0%)、50代(35.9%)では大きく数値が下がり、ここでもミドル世代の男性の落ち込みが目立ちます。アスピレーションは、年齢とともに自然と達成されていくものではないという実情が浮かび上がる結果となりました。



2.生活者の葛藤の実態
<参考資料4:葛藤/モヤモヤの有無>
全国15-69歳のうち、生活の中で「葛藤」や「モヤモヤ」を感じる人は64.0%。アスピレーションと同様に、年齢が若くなるにつれ、葛藤がある人の割合は高くなる傾向があります。また、アスピレーションを持っている人は持っていない人に比べ葛藤を持っている割合が非常に高く、自身の大切にしたいこと・実現したいことと向き合うことで葛藤も生まれている様子がうかがえます。



<参考資料5:葛藤/モヤモヤを感じる対象TOP5>
「葛藤」や「モヤモヤ」を感じる対象は、「自分自身」が47.4%で最も高い結果となりました。特に、女性30-60代は「配偶者・パートナー」、女性30-40代は「子ども」、男性40-50代は「仕事上の関係者」の割合が高くなっており、ライフステージや性別により対象の違いが顕著に現れました。また女性30代は、モヤモヤを感じる対象が他世代に比べて多く、結婚・子育て・仕事と多くのことに悩まされているようです。



<参考資料6:葛藤/モヤモヤに対する気持ち>
葛藤に対する気持ちにおいては、「葛藤はできるだけ感じずに生きたい」が77.4%でトップとなった一方で、「葛藤することは必ずしも悪いものではないと思う」も同時に高く出ました。葛藤は苦しいものであると同時に、参考資料4にあった自身の大切にしたいこと・実現したいことと向き合うことで生まれる葛藤のような「人生のプラスになる葛藤」も存在すると感じている人が多いようです。なお、男女ともに10-20代では「必ずしも悪いものではない」が「できるだけ感じずに生きたい」を上回り、30代以上になると逆転する傾向が共通しており、ライフステージとともに葛藤の感じられ方は変動する傾向があります。



3.アスピレーション・葛藤と「幸福」だと感じる人の割合の関係性
<参考資料7:幸福だと感じている人の割合>
全国の15~69歳のうち、7割弱が「幸福」と感じており、その水準は男女ともに10代と60代で顕著に高い結果に。また、アスピレーションが「はっきりある」「ぼんやりある」人は8割弱が幸福と回答した一方で、「あまりない」「まったくない」人は顕著に値が低くなっています。さらに葛藤についても、「たまにある」「あまりない」人は7割弱と比較的高い水準ですが、「よくある」人は61.5%、「まったくない」人は57.7%と顕著に低く、葛藤は「適度にある」方が幸福だと感じる割合が高くなることがうかがえます。




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