2025年の夏は40度超えが続出するなど、各地で続く記録的な猛暑。

7日、東京都内では午後3時までに、26人が熱中症の疑いで救急搬送されました。
注意が必要なのは熱中症だけではありません。

それが「夏のヒートショック」です。

ヒートショックというと冬のイメージですが、いとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道院長によりますと、「夏でも大きな寒暖差。こういった時にヒートショックが起こります。実際に、冬場よりも夏場の方が脳梗塞は頻度が高いと言われている」といいます。

7日も東京都内のクリニックでは、80代の男性が「頭がふらふらする」と来院していました。
男性は、気温差により血圧が低下し、軽いヒートショックを発症したとみられるといいます。

いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:
急激に暑い外に出たときや、逆に暑い外から急に冷えすぎた部屋に入ったとき、血管に大きな負担がかかり、心臓や脳の血管のトラブルが起こる。

記録的な暑さでエアコンの使用が欠かせない夏。
特に、夏はクーラーの効いた涼しい室内などから40度に迫る屋外などに出た際、血管が拡張し血圧が急降下。

高齢者のみならず、幅広い世代でヒートショックに注意が必要だといいます。

街では「くらっとする。外暑すぎて温度差で」「すごく涼しいお店の中だったり電車の中だったり、結構気温差は体に負担がかかるなと」などといった声が聞かれました。

こうした悩みは訪問看護の現場でも。
取材した女性看護師は、自転車で移動し1日に5~6件の高齢者宅を訪れています。

訪問看護師:
(外に)出てきたときの方がしんどい。うわって気持ちが悪くなるときはある。

暑い屋外と涼しい屋内を頻繁に行き来する現場では、どのようなことに気を付けているのか聞くと、「訪問の前に水分補給。ミネラルも入っていた方がいいと思って、会社で用意してもらって飲んでます。頭を冷やす保冷剤。(ヘルメットに)いれてかぶると冷たい」などといった対策をしているということです。

「夏のヒートショック」の対策について、詳しく解説します。

「夏のヒートショック」になり得るシチュエーションは、極端に冷えた室内から外へ出たり、暑い外から極端に冷えた中に入ったり、極端に冷えた部屋からお風呂に行ったりなどといった場合だといいます。

夏は脱水症状になりやすいため、異常な暑さのこの夏は特に気を付けてください。

なぜ「夏のヒートショック」になっていくのか、どうやって防いでいくのか。

いとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道院長によりますと、「エアコンの温度差を10度以内にしてください」ということでした。

あまり低い温度に設定していると温度差が生まれてしまって、血管が収縮して血圧が上昇してヒートショックになる可能性があるといいます。

また、温度差が10度を超えて15度になると、ヒートショックになりやすいということでした。

しかし、外の気温が40度になっている中では、なかなか難しいかもしれません。
どうしたらいいのか伊藤院長に聞いたところ、ポイントは「2段階冷却」ということでした。

まずはエアコンを高めに設定し、15分後から20分後にさらに2度から3度下げるという2段階で下げるということです。

また、お風呂は脱衣所で自分で湯冷めをして、冷房の効いた部屋に戻っていくといった「2段階冷却」の方法もあり、ヒートショックの可能性リスクを抑えることができるそうです。

もう1つ、「食べ物」でも対策ができるそうです。

血管の柔軟性を維持して、血圧の大きな変動を抑える作用があるビタミンCを摂取してくださいということで、レモンの果汁やブロッコリーはビタミンCを多く含むのでオススメだということです。

また、夏はキンキンに冷えたビールも飲みたくなりますが、アルコールは利尿作用があり、尿が大量に出て脱水につながってしまうということで、注意する必要があります。

加えて、大人もそうですが小さい子供たちも気を付けるようにしてください。