「手取り増」は実現できるのか。

関西テレビ「newsランナー」に6日、国民民主党の玉木代表と日本維新の会の吉村代表が生出演。コメンテーターの元大阪府知事の橋下徹氏、ジャーナリストの鈴木哲夫氏とともに激論を交わしました。

国民民主党が掲げる「年収の壁」の「178万円への引き上げ」について、橋下氏が「玉木さんと一緒にやれるか」と聞くと、維新・吉村代表は「基本的に賛成」と述べ、玉木代表も「ぜひやりたい」と答えました。

また玉木代表は維新が掲げる「社会保険料の引き下げ」について、「喜んでやりたいと思います」と応じました。

■「”年収の壁”の178万円への引き上げ」巡り”一度は決裂”

今回スタジオで主に議論となったのは、国民民主党の看板製作と言える「”年収の壁”の178万円への引き上げ」、そして維新が訴える「社会保険料の引き下げ」と「副首都構想の実現」でした。

「”年収の壁”の178万円への引き上げ」を巡っては、去年の年末に吉村代表と玉木代表がそれぞれnewsランナーに出演した際、連携に向けて前向きな姿勢を示していたものの、維新が与党と高校授業料の無償化で一致したことについて、国民民主党側が反発。

これに対して維新の吉村代表が「国民民主党側から『一緒にはやりません』と言われた」と主張するなど、決裂していました。

■玉木代表「年内にできる唯一の物価高対策は”178万円”引き上げ」

そして冒頭で玉木代表は、「物価高対策」について、与党が「現金給付」、野党が「消費税減税」を掲げる中、「年内にできる唯一の方法」として、さっそく「”年収の壁”の178万円への引き上げ」を主張。実現すれば「年末調整で返すことができる」と訴えました。

【玉木代表】「いつもこの表(各党の物価高対策の一覧表。図を参照)出るんですけど、我が党の物価高騰対策ってここに書いてなくて、一番の問題はここに書いていることは全部年内にはできません。

年内にできる多分唯一の方法は、所得税・住民税の控除額を上げて、それを年末調整でお返しすることだと思います。

(現金給付は)マイナンバーに紐づけた公金受取口座には、何とか年内の開始が可能かもしれませんけども、1億2000万人の人口のうち、公金受取口座を紐づけている人って、6000万人ぐらいしかないので、特に低所得の方で、住民税非課税世帯の4分の3は高齢者ですけど、こういった方々は多分、公金受取口座登録されていないので。
だから年内に何かお金を戻して、物価高騰対策に対応いただくってことであれば、我が党が言っている178万円にできるだけに近づけて控除額を上げて、年末調整で返す、これが一番早いと思います」

■吉村代表”178万円引き上げ”一度は決裂も「基本的に賛成」

そして橋下氏が吉村代表に質問をぶつけます。

【橋下徹氏】「吉村さんは178万円に基礎控除上げるってのは、これもともと賛成じゃないですか。そこは賛成でいいんですか」

【吉村代表】「それは基本的に賛成です」

【橋下徹氏】「玉木さんと一緒にこれはできるということなんですね」

【吉村代表】「そうですね」

【玉木代表】「ぜひやりたい」

【吉村代表】「維新の会がこれだけ厳しいと言われても、やっぱり維新の会に投票してくれた人がいるわけですよ、信じて。だから僕らも社会保険料下げる改革だとか、『副首都』だとか、成し遂げたい公約ってのがありますから。玉木さん”178万の壁”、僕はこれ賛成の立場です。だからできることを協力してやっていくのが僕はいいんじゃないかと思っています」

■社会保険料引き下げ・副首都構想 国民民主は協力?

そしてここから「社会保険料引き下げ」や「副首都構想」など維新の政策への国民民主側の賛同を巡っての議論が続きます。

【玉木代表】「社会保険料の負担が大変厳しくなってることについてはね、我々もよく理解してるし政策にも掲げてますので、ここもぜひ協力してやっていきたいので。

178万円の引き上げ、特に今回最低賃金がまた上がったでしょう。だからやっぱりね178万円じゃむしろ足りなくなってきてるような状況なので、まずはこの178万円まで控除額を引き上げれば、秋の臨時国会で対応して、もう年末調整でお返しするということを、ぜひご協力をいただいて実現したいなと思います」

【newsランナー 吉原功兼キャスター】「ここは吉村さん確認ですけれども、手を組むって言っていいですか」

【吉村代表】「僕、『178万の壁』”突破”賛成です。社会保険料を下げる改革はこれはもともと玉木さん公約に掲げてるので、これは賛成です。

僕らも、もう1つ公約に掲げている『副首都』、ここは東京一極集中是正をして、国家の危機管理としてもバックアップできるような副首都機能を作っていく。また成長する経済都市を作っていく。そういったことを話をさせてもらえたらなとは思いますね」

■「社会保険料引き下げ維新と手を組む?」に 玉木氏「喜んでやりたい」

【玉木代表】「吉村さんと一致しているのは、現役世代をしっかり応援していこうということは多分、両党が方向性としては一致している。

やらないと、『頑張っても、頑張っても、税金取られる、社会保険で持っていかれる』って、そんなのばっかりで、もう馬鹿らしいみたいになるので、やっぱりちゃんと真面目に働く人が報われるってところについては、力を合わせてやっていきたいと。

ただそのためにもね、安易な連立しないで欲しいなと思っているし。石破政権は、いろいろな世論調査みたら、『辞めた方がいい・辞めない方がいい』半々みたいなところがありますけど、この間の選挙の結果も重いと思うんですよ。だから私たちが新しい答えを、解決策を示していくってことが大切だと思うので、その部分についてはぜひ協力してやっていきたいなと思っています」

【吉原功兼キャスター】「玉木さん、社会保険料の引き下げの改革、維新と手を組むつもりってありますか」

【玉木代表】「喜んでやりたいと思います。ただ私も長く、役人時代も含めて、社会保障の問題にはずっと取り組んできたので、例えば4兆円とか、年間6万円の社会保険料の引き下げっていうのは、なかなかイメージできないので。

もう少し具体的な…実際今政府は、『改革工程表』というのを作って、様々な改革を今進めようとしていますから、ちょっとスピードが遅いところは『もっと早くやれ』とか、我々はまず、後期高齢者医療制度を原則2割負担にして、現役並みの所得や資産のある方については3割(負担)をお願いするということで、改革をしていこうと。

すべて現役世代にお願いするのは、もう耐えられなくなってきているので、すべての世代が安心して暮らせるためにも、年齢ではなくて能力に応じた負担に変えていくっていうことはやっていきたいと思いますんで、こういう方向性は多分一致していますから、ぜひ具体的な改革をともに進めていければなと思っています」

【吉村代表】「社会保険料の改革はそもそも国民民主党も、少し中身が違っても公約にも掲げられているので、やるのは国民民主党として当然だと思うんですよ。公約で掲げているから。我々も当然これ『1丁目1番地』で掲げているのは、これをやっていこうと。

(維新が掲げる「副首都構想」)日本の国家構造を考えたら、もう1つの軸になるような都市を作らなきゃいけないっていうのは、僕はちょっと強く思うので、そういったことも玉木さんと話をさせてもらえたらなと思います」

■橋下氏「2人がタッグ組んでイエス・ノーを突きつければ実現」

これまでの議論を聞いて橋下氏は…

【橋下氏】「『178万円の壁』と『社会保険料の改革』のところは、窓口負担のところは、国民民主党は後期高齢者2割で維新は3割って言ってるんですけども、これ『2割』で多分動きますよ。

あとは副首都構想のところも多分、玉木さんたち、国民民主党も別に反対する話ではないので、これ直ちに大阪というような法案でもないっていうことを吉村知事もそういうことも考えてるみたいなので、発言では。

だからこれであとはそれぞれが自公・石破政権とやらないということを、2人言ってるわけですから、もう2人がタッグを組んで、これイエス・ノーを突きつければ、今の3つはもう実現しますよね」


■「副首都」玉木代表は「大阪でいいのか」吉村代表「大阪以外でも?」に「全力で」

このように橋下氏は期待感を述べましたが、玉木代表からは副首都構想を巡って、次のような発言が。

【玉木代表】「副首都構想は私賛成なんだけど、大阪でいいのかっていうのはね、ちょっと考えたほうがいいと思っていて。何でかっていうと、私も四国なんで、南海トラフ地震が心配で。かつて1944年と46年の地震もそうなんですけど、南海トラフって時差で半割れしていって、結局両方、東南海も南海も割れて、関西も関東も被害を受けるってケースがあるので、そのバックアップとして、例えば関西圏においても大阪よりもむしろ古都・京都がいいんじゃないかとか、あるいは福岡がいいんじゃないか、日本海側がいいんじゃないか、と議論はあるので、そこはさせてもらったらなと思いますけどね」

【吉原キャスター】「大阪以外で副首都っていう場合も、吉村さんは全力で取り組みますか?」

【吉村代表】「副首都をやる上では全力で取り組みます。これ必要だと思うから。でもこれ僕知事をやっているから、実際に副首都を担うとなると、それに必要な行政機構が必要なんですよ。実行組織として確かに東京都はそれを担うだけの組織があります。でも都道府県と政令市がバラバラにやってるようじゃ、副首都の機能なんか担えないです。

その上で、地震対策にしても南海トラフだけではなくて、『南海トラフ、南海トラフ』と言われてて起きたのが、能登の地震であったり熊本地震だったりする。阪神淡路の地震もあれば、首都直下型の地震もある。

つまり南海トラフについて備えるのは当然なんだけれども、いつどんな大きな地震が起きるかわからないのが日本ですよ。そう考えときに東京一極だけじゃなくて、もう1つ副首都の機能になるところと。一極集中を変えていくという意味では玉木さんと基本的な考えは一緒です」

■「野党連携」どこまで?

2人の間の政策の一致点と共に、細かい違いが見えてきたところで、ジャーナリストの鈴木哲夫氏は、玉木代表と吉村代表に「野党連携で政策を進める気はないか」と質問しました。

【ジャーナリスト 鈴木哲夫氏】「野党の方でまとまったら、数があるんだから僕はこの2人が組んで、野党の結集みたいなものに玉木さんが旗を振るってどうですか?」

【玉木代表】「やれるところはそれを進めたいと思います。野党も色々あるんで、野党は野党で、本当にできるのかって不安もあると思うんですよ。だからその実績を見せていくことで信頼を得ていくことも必要なんで、今回ガソリンの暫定税率については、前の通常国会でも立憲さん、維新さん、うちの三党で出して、衆議院を通るだけで、参議院はダメでした。

でも今回は初めて、野党で出して通る見込みがあるから、与党も巻き込んで、年内の廃止ということで決めて、具体的な詰めをやっているということなんで、野党主導でやって、動かしていくっていうことも大事だと思いますし、そこでしっかりと役割を果たしていきたいなと思っています」

【鈴木氏】「僕はどうしても、政権交代みたいな緊張感を目指してほしいと思ってるから、野党側の結集の旗振りみたいなこともぜひやってほしいって僕個人的には思うんですよね」

【玉木代表】「政策ごとにやれるところとはやっていきたいと思いますし、なかなか自民党・公明党だけではできないことも、たくさんあるってことがわかったので。

特に現役世代重視っていうことでは、吉村さんと一緒にやれることはたくさんあるってよくわかりましたので。

野党としてそれだけ選んでくれた民意っていうのは、与党に過半数を与えなかったんだから、この民意は重いので、しっかり受け止めて実現していきたいなと思いますけど」

一方、吉村代表は野党間の「価値観」の違いを指摘し、野党連携での政権運営には否定的な考えを示しました。

【吉村代表】「できるところはどんどんやったらいいと思うんですね。ガソリンの暫定税率廃止も、これは野党でまとまったわけですから、やったらいいと思うんです。

ただ僕、知事の立場で、役所を動かす立場でいくと、国家を動かすとなると、無責任ではダメなんですよ。安全保障・憲法・国家観、そういったものがある程度まとまらないと、責任もって改革を本当に進めるとなれば、一定の基本的な価値観って僕はいると思う」

激論を交わし、政策面の一致点も見えた国民民主と維新の代表2人。

与党が衆参両院で過半数割れとなったうえ、自民党が石破総理の進退をめぐって混乱する中、2つの党はどのように政策実現に進むのでしょうか。

(関西テレビ「newsランナー」2025年8月6日放送)

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