石破総理大臣は5日、生産量の不足がコメの価格高騰の要因だと認め、「増産にかじを切る」と明言しました。

事実上の減反政策から突然の方針転換に、鹿児島県内の関係者からは驚きや戸惑いの声が聞かれました。

石破首相
「『コメを作るな』ではなく、生産性向上に取り組む農業者が増産に前向きに取り組める支援に転換する」

5日の関係閣僚会議で、石破総理大臣は耕作放棄地の拡大を食い止めることや、輸出の抜本的な拡大に全力をあげる考えを表明しました。

また、小泉農林水産大臣は「需要が減り続けるという前提で、農水省が見通しを見誤ってしまった」と話し、「責任は重く受け止める」とした上で、増産に向けて政策強化に取り組む考えを示しました。

コメの増産という政策転換について、県内のコメ農家からは、驚きと戸惑いの声が聞かれます。

鹿児島県の種子島で5ヘクタールの水田で稲作を手がける脇田峰生さんは、「農家は減反政策の中、コメを供給するために頑張ってきた」として、増産に伴う経費補填の必要性を訴えました。

西之表市のコメ農家・脇田峰生さん
「肥料、飼料、農薬、油類、重油、軽油、灯油、ガソリン、電気料、これが上がる中で生産者は頑張っているので、農家サイドにとってみるとその辺はどこかで補填をしてもらわないと。あまり安くなったら農家はやっていけない」

鹿児島県伊佐市の農業法人で、40ヘクタールの稲などを生産する猩々義秋さんも政策転換に戸惑いを隠しません。

伊佐市の農業法人代表・猩々義秋さん
「率直にびっくりはしているが、いきなり言われても山間地は(コメが)作りづらい。(水田の)拡大も結構難しいのではないか」

猩々さんの法人では甘酒や米粉パンなども製造、販売していますが、コメを増産する難しさを指摘します。

伊佐市の農業法人代表・猩々義秋さん
「転作が長く続いた田んぼは用水路から造り直さなければならない。ほとんど高齢化で田んぼが荒廃していくのが現状。若い人たちも中山地域に入ってきてまでやる人が少なくなっている」

また、猩々さんは政府によるコメの価格保証がないままでは、農業経営が安定しないため新規の参入や就農も難しいと話していました。

鹿児島テレビ
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