老朽化などを理由に解体が決まっている高松市の旧香川県立体育館についてです。建築家らで作る団体が香川県教育委員会などに保存・活用に向けた協議を始めるよう申し入れたのに対し、県教委は具体的な計画が明確になっていないなどとして協議は行わない考えを示しました。
建築家らで作る団体は7月に民間の資金で旧県立体育館の耐震改修を行い、ホテルとして再生させる案を示し、香川県教委などに保存・活用に向けた協議を始めるよう求めていました。
これを受け県教委は8月5日付で、団体に文書を送り協議は行わない考えを示しました。委員会の提案について具体的な活用計画などが明確でないことやできるだけ早く安全を確保する必要があることなどを理由に挙げています。
世界的な建築家、故・丹下健三さんの設計で知られる旧香川県立体育館は、老朽化と耐震性の問題から県が解体を決め、2025年度予算に解体工事費、約10億円が計上されています。
県教委の回答を受け、団体の委員長を務める長田慶太さんは、「多くの応援を受けている中で突然の発表は誠意がなく非常に残念」とコメントしています。
<旧香川県立体育館再生委員会に通知した全文>
旧県立体育館は、平成26年に閉館して以来、10年が経過し、これまでに公共団体及び民間団体ともに、これを所有し活用する者がない状況が続き、香川県としては、旧県立体育館の老朽化及び耐震性がないことから、できるだけ早く安全を確保するため、解体の準備・手続きを進め、現在に至っております。
今回の貴会の提案においても、旧県立体育館を所有し活用する具体的な主体や計画等は明確になっておらず、先延ばしはできないと考えております。
これまで県では、平成26年の閉館以降、そのあり方を慎重に検討してきた中で、この間、民間事業者からの提案もなく、令和3年度に実施したサウンディング型市場調査で民間事業者に利活用の提案を求めましたが、民間事業者による持続的な運営ができる利活用の提案はありませんでした。
このような経緯であり、建物の劣化状況や地震に対する脆弱性から安全性の確保を図るために、令和5年2月に解体の方針を固め、令和5年度予算において、解体工事実施設計の予算を計上し、また、令和7年度予算において、解体工事の予算を計上し、スケジュールを公表したところであり、現在は保存や利活用に係る提案を公募している状況でもございません。
県としては、老朽化や耐震性の課題のある県有建物の安全性の確保については、県が責任を持って進める必要があるものと考えております。