皮膚に出る赤い発疹。痛みを伴い、場合によっては後遺症が残ることもある『帯状疱疹』。その原因や傾向、さらに予防効果のあるワクチンの種類などについて医師に聞いた。
後遺症残ることも…痛み伴う“帯状疱疹”なぜ発症?
「はじめから皮膚の症状が出ることもあるが、皮膚の症状が出る数日前から先にピリピリとした痛みが出ることもある」
こう話すのは、新潟大学医歯学総合病院の長谷川瑛人医師だ。

そもそも帯状疱疹は“水痘帯状疱疹ウイルス”というウイルスによって発症するものである。
最初に、このウイルスによって症状が出るのは水疱瘡。その水疱瘡が治ったあとに、ウイルスが体から全て消えきらず、神経節と呼ばれるに場所に残って潜んでいるような形になる。
年をとったり、病気で免疫力が落ちたりしたときにそのウイルスが活発に活動することで、帯状疱疹として症状が現れるという。
高齢になるほど発症率高くなる帯状疱疹 近年は若い世代でも増加傾向に
3人に1人はなると言われている帯状疱疹。

その発症率は年々増加傾向に。さらに、帯状疱疹は高齢になればなるほど発症率が高くなる。現在、高齢化が進んでいることもあり発症数が昔より増えているのだ。
また、近年の傾向として問題視されているのが、若い世代の帯状疱疹も増加傾向にあることだ。
2014年に水疱瘡のワクチンが子どもに定期接種化されたことで、子どもの頃に水疱瘡になる人の数は激減しているが、その後、帯状疱疹になる成人の数は増えている。

これは免疫機能に関する効果が原因と言われている。
ワクチンが普及する前は水疱瘡にかかる子どもが多かったことから、かかった子どものウイルスを大人が受け、体内に免疫を持つ“ブースター効果”が得られていた。
しかし、ワクチンの普及により水疱瘡にかかる子どもが減少したことで、大人もウイルスに接する機会が減り、免疫が低下。20代から40代などの若い世代も症状が出やすくなってしまったのだ。
予防効果ある2種類のワクチン それぞれのメリット・デメリットは?
若い世代にも高齢者にも増え続けている帯状疱疹の症状。基本的な免疫力を高めつつ、必要に応じて適切な予防をする必要がある。
高齢者向けの予防としては、厚生労働省が25年度から65歳を迎える人などへの帯状疱疹ワクチンの予防接種を定期接種の対象としている。
ワクチンは現在2種類。1つは“生ワクチン”と呼ばれるもの。もう1つが“不活化ワクチン”と呼ばれるものだ。

生ワクチンは1回のみの接種で済み、1回打つと6~7割ほどの予防効果があると言われているが、5~6年経つと効果が落ちてしまう。
ただ、副反応は軽く、接種部位の痛みのみで済み、重篤なものはないと言われているのが特徴だ。
一方の不活化ワクチンは5年ほど前から使われ始めた比較的新しいワクチン。
1回打つと9割以上の高い予防効果があり、持続期間も長く10年経っても7割ほどの効果が続くと言われている。
ただ、生ワクチンに比べて接種部位の痛みに加え、発熱や頭痛、倦怠感といった副反応が出ることも。さらに2回接種しなければならない。
それぞれのメリット、デメリットを踏まえた上でどちらのワクチンがいいか判断する必要がある。
「とても痛い症状に苦しむ病気」予防・早めの治療を呼びかけ
最後に長谷川医師は「帯状疱疹はかかってしまうと、とても痛い症状に苦しむ病気なので、できるだけしっかり予防を。もし、かかってしまった場合は、早めに治療してもらえればと思う」と呼びかける。
重症化すると後遺症が残る可能性もあるという帯状疱疹。少しでも皮膚の違和感を感じた場合には病院への相談が重要だ。
(NST新潟総合テレビ)