福井県美浜町でドライブインを運営していた千鳥苑が福井地裁敦賀支部から破産手続き開始決定を受けたことが分かりました。
民間の調査会社・帝国データバンクによりますと、同社は1965年(昭和40年)に創業し、1980年(昭和55年)に法人化されたドライブインです。
嶺南地域の主要道路である国道27号沿いの立地を生かし、自家製のサバの糠漬け「へしこ」などの土産物販売や、食堂を経営。美浜町出身の演歌歌手の関連商品などを展示販売する施設や、県内初の地ビール「若狭ビール」の製造販売を手掛け、観光バスも受け入れていました。
旅行会社を通じた団体客のドライブイン利用や食堂の収入が売り上げの80%以上を占め、1994年3月期には年間約10億9500万円を計上していました。
しかし、バブル崩壊後の景気後退により、旅行会社が安価なパックツアーの展開に力を入れたことで、同社も食堂メニューなどの値下げを余儀なくされ、業況が悪化。さらに舞鶴若狭自動車道の開通により、国道27号を利用する観光客が減少。収益が悪化する中で、新型コロナウイルスの感染拡大で客足が遠のき、2021年3月期には年間約1億3000万円まで売り上げが落ち込みました。
その後も業績の回復は見込めず先行き見通しが立たないことから、事業を停止。8月4日に福井地裁敦賀支部から破産手続きの開始決定を受けました。
負債は債権者158人に対し、約6億100万円の見込みです。
なお、へしこと地ビールの製造販売事業については、第三者への事業譲渡を検討しているとみられます。
