新たな特産品を目指して、宮城・岩沼市で珍しい果物の栽培に取り組んでいる人がいる。
「幻のフルーツ」とも呼ばれているこの果物、とにかく「不思議な味」だった。

岩沼市で果物を栽培する宍戸幸次さん。早速、「幻のフルーツ」を栽培している所に案内してもらった。

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高橋咲良アナウンサー:
見えてきました。この木がそうですか?

岩沼ポポープロジェクト 宍戸幸次さん:
そうです。これがまさにポポーの木です

高さ約3メートルの木が50本ほど。木の枝を見てみると、アケビのような形をした実がなっている。
これが「ポポー」という名前のフルーツ。北アメリカ原産の果物。

高橋咲良アナウンサー:
緑色で私のこぶしより大きいぐらい。こぶし2個分くらいの大きさですかね?

宍戸さんは、友人から初めてポポーを食べさせてもらい、その不思議なおいしさに衝撃を受けた。
そして5年前、地元の仲間9人と共にポポーの栽培を開始。
宍戸さんの胸にはこんな思いがあった。

宍戸幸次さん:
地域の人に広めて地域おこしの起爆剤になれば…皆が年をとっていくと、高齢化による労働力不足で遊休農地がいっぱいあるので、そういう土地にポポーを植えて、特産品になればという狙い

ポポーを地域活性化の起爆剤に。
5年前に植えた苗は2019年からようやく実をつけ、200キロほどの収穫があった。収穫時期は、まさに今。
早速、食べさせていただくことになったが…

宍戸幸次さん:
食べた後に、10人が10人、いろんな味を言う。果物に例えたとき、ある人はバナナと言うし、ある人はマンゴー、それから昔のインドリンゴ。食べて逆に聞きたい

まずは香りから。

高橋咲良アナウンサー:
私はナシ。ナシの香りがします。ナシの香りに近いかなって

宍戸幸次さん:
そういう人もいた

高橋咲良アナウンサー:
では、いただきます。ん?すごい!なんだろう…えー??食べたら、香りはナシだったんですけど、メロンに近いかなぁって思いました

宍戸幸次さん:
それもあったね、メロンの人もいた

高橋咲良アナウンサー:
すごくねっとりしていて、おいしい。でも、食べたことないです。なんだろう?

宍戸幸次さん:
食べているうちにわからなくなるよ。頭の中が整理つかなくなるから

高橋咲良アナウンサー:
最初はメロンかなって思ったら、ふた口め、パイナップルも感じます

なんとも不思議な味がするポポー、このフルーツが一般に広まらないのは、ある理由がある。
ポポーの実は熟すとすぐに木から落ちてしまい、実が傷んでしまう。傷んだ実は、そのままの状態ではほとんど保存がきかない。

宍戸幸次さん:
最高に日持ちが悪い。この状態の色が、3,4日すると茶色く変色する。酸化して腐っていく。だから、市場に出ないんです。すぐに変色するから

高橋咲良アナウンサー:
なかなかお目にかかれないフルーツってことですか?

宍戸幸次さん:
それが幻。幻のフルーツっていうの

傷みが早く、そのままでは流通が難しいポポー。
この問題を解決したのが、名取市のジェラート専門店「ナチュリノ」のスタッフたち。宍戸さんが相談したところ、ポポーを使ったジェラートの開発協力を引き受けてくれた。

「ナチュリノ」店長 小原知恵さん:
地域の町おこしの起爆剤という言葉があったと思うのですが、それに感銘を受けまして。ぜひお手伝いさせていただけたらと思い、作らせてもらった

そして2020年7月、ついにジェラートが完成。
ポポーの栽培を始めてから5年。宍戸さんの思いが形になった。

岩沼ポポープロジェクト 宍戸幸次さん
これで行くのがベストかなと。私の思いに応えてもらった

高橋咲良アナウンサー
んー!おいしい!ポポーの甘さが生きていて、ミルクとすごく合いますね

ポポーを岩沼の特産品に。宍戸さんたちの夢が膨らむ。

(仙台放送)

仙台放送
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