イスラエル軍の攻撃が長期化しているパレスチナ自治区ガザ。イスラエルによる支援物資の搬入制限で住民の餓死が相次いでいます。
その過酷な現状を現地で活動するNGOの日本人スタッフが明かしました。
国境なき医師団・松田隆行さん:
食料、燃料、あと医療物資。これはもうずっと足りてないです。
OCHA(国連人道問題調整事務所)が撮影した、ガザに支援物資を届けた様子の映像があります。
物資を積んだ車列を待ち構えているのは、飢えに苦しむ多くの市民たちです。
ところが、車が近づくと群衆に向かって発砲が。
国連は、群衆に対する発砲があったのはイスラエル軍が待機していた方向からだったとしています。
ガザ保健当局は、飢餓または栄養失調による死者が175人になったと発表。
国際的な批判も高まっています。
そのガザの現状について、「イット!」は国境なき医師団で医療物資などの流通を担っている松田隆行さんにリモートで話を聞きました。
国境なき医師団・松田隆行さん:
基本的に全ての物が足りないんですけども、やっぱり食料・水が圧倒的に足りてないので。特に足りてないのが鎮痛剤、ビタミン剤と抗炎症剤、これはもうずっと足りてない状態。
特に深刻なのが子供たちの食糧不足だといいます。
国境なき医師団・松田隆行さん:
乳児用の液体ミルクと粉ミルク。我々、液体ミルクが1カ月前、3週間前に在庫が切れて、2日前に液体用ミルクは1カ月分ユニセフから入ってきたので、今はとりあえず大丈夫ですけども、でも1カ月先のめどが立たない状況。とにかく食料が足りていない。
クッションに横たわる子供の目は宙を見つめ、うつろ。
母親に抱かれた子供は、骨がくっきりと浮き上がるほど痩せこけた状態です。
病院では重度の栄養失調の子供を判定するため、腕周りを赤いバンドで測定していました。
ガザでの1日の食事状況はどうなのでしょうか。
国境なき医師団・松田隆行さん:
(1日)1食って言ってました。痩せ細った子供は多いなとは、明らかに多いなとは感じます。我々も一応、(1日)2食あるときもあるんですけど、基本(1日)1.5食ですね、朝食べて昼夜兼用。
戦闘のしわ寄せが市民に向かい続ける中、イギリス・ドイツ・フランスなどは、上空から援助物資を投下したと発表。
それでも物資はなお不十分な状況で、陸路での搬入が求められています。
一方、ハマスは2日、人質として拘束している男性の映像を公開。
地下施設とみられる狭い空間で「3日間食べていない」と話し、缶詰を1つ受け取ると「この缶詰でギリギリ2日生き延びることができます」とつぶやきました。
やがて映像は、痩せ細った男性が地面の土をシャベルで掘る様子へ。
この場面で男性は「自分の墓を掘っている」などと話しました。
映像の公開を受け、アメリカ・イギリス・フランス・ドイツなどは、ハマスを激しく批判しています。