「小粒で皮が柔らかく、果肉が硬く歯切れがよい食感の新品種のナス」と聞くと、食べたくなるだろう。2025年に山形で本格栽培が始まったナスの新品種が初めての収穫期を迎え、県が研修会を開いて生産者たちに栽培や管理のコツを伝え、試食会が開かれた。

収量の安定確保が期待されるナス新品種
山形県が初めて開発したナスの新品種「山形N1号」は、直径約3センチの小ナス。
近くで見てみると、紫色がとても濃くきれいで、形はころんと丸くてかわいらしい。
山形N1号は、天候に大きく左右されずに育てられるとして期待されている。

栽培研修会は、2025年に本格栽培が始まった新品種を広く知ってもらい、栽培技術を高めようと県が開いたもの。
生産者やJAの関係者など約100人が参加した。
山形N1号は、置賜地方の伝統野菜「薄皮丸なす」と国が育成した「あのみのり」を掛け合わせた交雑品種。

その特徴は、色づきの良さと、皮が柔らかく果肉が硬いため漬物にすると歯切れのよい食感が生まれること。
そして何といっても「あのみのり」の特徴である単為結果性を持ち、受粉しなくても果実が成長するため、安定した収量の確保が期待できる。
シャキシャキ歯ごたえが心地よく漬物でおいしい
研修会の参加者は県の担当者から栽培方法の説明を受けた後、試験栽培している圃場(ほじょう)で管理のコツなどを教わっていた。
生産者は、「非常に作りやすい。あまり手をかけなくてもいいような感じで、なおかつおいしいナスが作れるという気がする」と言っていた。

また、浅漬けやぺそら漬けなど漬物加工したN1号の試食会も行われた。
参加者からは、「シャキシャキしておいしい」「浅漬けが一番おいしい。口の中で、気持ちのいいシャキシャキという歯ごたえがある」との声が聞かれた。

山形N1号は現在37人の生産者が計91アールで栽培していて、県はこれから徐々に規模を拡大させたいとしている。
県園芸大国推進課・石山新治さん:
気候が大きく変わっても収量がしっかり確保できるということで期待できる。
徐々に品種の良さを知ってもらって、栽培が広がっていって、この品種が生産者の経営の支えになるような品種に育ってほしい。

新品種の誕生は、漬物がおいしい山形の、新たな自慢が生まれた瞬間ともいえる。
山形N1号は、7月中ごろから県内の一部の産直などで販売が始まっている。

(さくらんぼテレビ)