太平洋戦争末期に特攻の最前線基地となった鹿児島県の知覧と富山をつなぐ物語を2回にわたってお伝えしています。
2回目の今回は、SDGsの普及や次世代教育に取り組む深井宣光さんが地元、富山市八尾町の小学校で行った平和と命の特別授業です。
「飛んでいってくれた方たちがいます。みんなを守るために。」
深井さんの特別授業。
初めて見る特攻隊の飛行機が子どもたちの視線を集めていました。
「みんな一人ひとりと(特攻隊員が)どんなつながりがあるのか、どんな意味があるのか」
イメージを固定する映像などは使わず、子どもたちが、その本質に迫れるように。
招かれたのは、知覧で特攻隊の真実を伝え続けるあの「ホタル館 富屋食堂」の特任館長、武田勝彦さん。
授業は、子どもたちと80年前の特攻隊員をつなぐところから始まります。
*特攻隊の真実を伝える ホタル館 富屋食堂 武田勝彦さん
「私は両親がいることで生まれてきた。そのお父さん、お母さんも誰かから命を授かって生まれてきている。誰だ?じいちゃん、ばあちゃんだよね。30代さかのぼりましょうか。その当時(30代前)室町時代あたりで(日本の)人口は700万人しかいません。10億人いない。数字が合わないということはどこかで同じ人が被っていて家族がつながっているということ。全員きょうだい。隣にいる人たちは、どこかで血がつなっがているきょうだい。けんかしている場合じゃない、いじめしている場合じゃない、仲間外れにしている場合じゃない。みんなきょうだいなんだ」
深井さんの狙い通り、子どもたちの心に特攻隊員に思いを馳せる準備が整いました。
*特攻隊の真実を伝える ホタル館 富屋食堂 武田勝彦さん
「特攻隊の話。特攻隊は爆弾を飛行機に搭載して飛行機もろとも自分の体を乗せたまま体当たりする攻撃のことを特別攻撃隊と言います。通称特攻隊です。何で?おれ嫌だね。痛いのも嫌だし死ぬのも怖い。やっちゃだめ、どんな理由があっても。人間を爆弾にするようなっことはやっちゃだめ。負けたか勝ったかが問題じゃない。これが僕の平和学習。彼ら(特攻隊員)にも両親がいた。結婚していれば妻や子どもがいる。最後に息子、娘がいるお父さんの特攻隊員、どの手紙を紹介します。」
「正憲と紀代子はお父さんの子ども。姿は見えなくても、神様になって二人をずっとずっと見守っている。ふたりのお馬さんにはもうなれないけど、兄妹ふたりで仲良く仲良くするんだよ。お母さんの言いつけをよく聞いて、心配をかけないようにしなさい。そして、大きくなったなら自分の好きな道に進んで立派な日本人になるんだ。」
「未来の子どもたちよ、無事に生きてくれ。幸せでいてくれと言って亡くなった彼らはみなさんの遠い家族。知っててください。これから先、戦争が起こらないでいいように。以上」
特攻を題材にした特別授業。
子どもたちそれぞれの心に「平和と命」を考えるタネが植えられたようです。
これが、深井さんの次世代教育の新しいカタチ。
子どもたちが歴史の当事者に思いを馳せることで生まれる自分で考えるプロセスが未来を切り開く力、生きる力になると考えています。
*杉原小学校校長 浅野 真樹子さん
「心を揺さぶられ「自分ごと」として捉えて将来につなげてくれたのではないか。子どもたちの姿、乾燥、しぐさ、目の表情から感じたことがうれしい。つなげていきたい。」
戦後80年の夏―。
深井さんは、ホタル館の武田さんと一緒に特攻隊員が今も語り続ける知覧からのメッセージを100冊の絵本にして、出版するプロジェクトを始めます。
*平和と命の授業講師 深井宣光さん
「一人ひとりの命を大事に幸せとは何か、平和とは何か子どもたちが答えを見つけ出している。命のバトンを自分たちが次に渡していく。そこに希望や幸せをもって生きていってくれたら」