30日朝、ロシアのカムチャツカ半島で起きた地震。
この地震による津波への警戒や注意報解除の見通しなどについて、東京大学地震研究所の笠原順三名誉教授が詳しく解説します。
堤礼実キャスター:
まず、カムチャツカ半島の沖合で起きた地震が、日本の太平洋沿岸に津波となって現れたというのはなぜなのでしょうか。
東京大学地震研究所・笠原順三名誉教授:
1つは、ここで起きたカムチャツカ半島の地震は、マグニチュードが8.7と非常に大きいこと。それから震源の深さが18kmと浅いこと、そういうことがあって、ここでできた地殻変動が非常に深いところを通ってまず津波がきて、そして浅いところを通って次にくるというふうにして、ほぼ南北の地殻変動が日本に向かってきたということですね。
堤礼実キャスター:
そもそも、地震発生からしばらく時間がたってからの方が大きな津波が来るというのはなぜなのでしょうか。
東京大学地震研究所・笠原順三名誉教授:
震源から津波になって地殻変動が津波になってくるときに、深い所、千島列島に沿って深いですから、そこが一番早く来ると。それから水深は5500メートルぐらいですから、少し遅れてくると。それから、いろいろ回り込んでくるとか、時間がかかるものはハワイとか、あるいはアメリカの西海岸とかアリューシャンとか、そういう所いって戻ってくる。そういうような形によって時間遅れがあるということです。
堤礼実キャスター:
今現在も日本の多くの地域に津波注意報が出ていますけれども、この津波に我々はいつまで警戒すればいいんでしょうか。
東京大学地震研究所・笠原順三名誉教授:
これは非常に遠くまでいって戻ってくるような波まで入れると、31日の午前9時ぐらいまでは一応警戒した方がいいんじゃないですかね。
堤礼実キャスター:
そして今後、津波注意報が解除された後、どういったことに気を付ける必要がありますか。
東京大学地震研究所・笠原順三名誉教授:
1つは、1946年以降、アリューシャン列島付近でマグニチュード8くらいの地震が連続して非常に短い時間で起きました。それもあるんですけれども、1つは世界的に見てマグニチュード9クラスの地震は、わりと20年くらいとか短い間に起きるという傾向がある。そういうことによって、大きな地震がある期間の中で続けて起こる可能性があるので注意する必要がある。それから、最近では根室付近で地震活動が活発に起きているので、このことに対しても注意する必要があると。
堤礼実キャスター:
大きな地震活動が固まって起こることが多いということですね。
東京大学地震研究所・笠原順三名誉教授:
他の例を言いますと、2004年のスマトラの地震、これは2004年の12月にマグニチュード9が起き、それから3カ月後に8.6の地震が起きました。同じくらいの規模の地震がすぐ隣接して起きたので、今回も隣接する所で巨大な地震が起こるということも警戒する必要があります。
堤礼実キャスター:
それは数週間とか1カ月、2カ月の話ですか。
東京大学地震研究所・笠原順三名誉教授:
そうですね。例えば3カ月くらいですけれども、マグニチュード9くらいの地震が固まって起きるというのは10年とか、15年とかそれぐらいの中で起きたことがありますので、今回は例えば2004年のスマトラそれから2011年の東日本、そしてカムチャツカというのがかたまって起きていると。そういうことからいうと、同じくらいのマグニチュード9くらいの地震を気を付ける必要があるのではないかと思います。
堤礼実キャスター:
いつ起こるかわからないからこそ、日頃からの備えが大切になってくるということですね。
東京大学地震研究所・笠原順三名誉教授:
日頃から巨大でなくても、やはり地震に対して防災用具とか、そういうことに対して注意する必要があるのではないかと思います。