7月30日午前8時25分ごろ、ロシア・カムチャツカ半島付近を震源とする地震が発生しました。地震の規模を示すマグニチュードは8.7と推定されています。

宮城県内では登米市や丸森町で震度1を観測し、午前8時37分、北海道から沖縄までの太平洋沿岸に、津波注意報が発表されました。

避難してきた人
「川沿いで仕事していまして津波注意報がでたので避難してきました」
「前もかなり被害があったのでそういった被害でないように願うだけですね」

約1時間後の9時40分、注意報は、「津波警報」に引き上げられました。

気仙沼市の高台に避難してきた人
「14年前の震災を思い出してサイレンが耳に残って怖くてしょうがないですね。慌てていたから水分とかも足りなかったと思うけど、ここには水がある場所と分かっていたから」

海に近い場所に位置する仙台空港では、滑走路が閉鎖され、伊丹・福岡便が急きょ空港に引き返したほか欠航が相次ぎました。

県内ではあわせて15の市と町に避難指示が出され、避難所が開設されました。
各自治体によりますと、午後1時の時点で、県内では少なくとも1万940人が、避難したということです。

亘理町で避難した人
「(津波警報を)聞いてこれでは避難しないとだめだと思って急いで来ました」

そして、午前11時50分ごろ。県内では、石巻港で50センチ仙台港で40センチの津波が観測されました。
その後も石巻港、仙台港では最大70センチの津波を観測しています。

津波は、繰り返し押し寄せました。

下山由城アナウンサー
「石巻市の石巻港の様子です。午前中からかなりの数の船が沖に出ていたのですがこの時間になって沖から戻ってくる船の様子も見られるようになりました。上空からは大きな被害は確認できません」

東北電力によりますと、女川原発では3回、津波が到達しました。
1回目は、午前11時16分に16センチ。2回目は、午後0時31分に27センチ。3回目は、午後1時37分に60センチだということです。
被害は確認されておらず、去年再稼働した2号機は、安全に運転できているということです。

一方、津波が川を遡上したとみられる様子も複数の場所で確認されました。
東松島市を流れる、定川。多賀城市を流れる砂押川です。

気仙沼市では、漁業被害が出ています。

下山由城アナウンサー
「気仙沼市の気仙沼大島大橋の付近です。その近くで養殖いかだに被害が出てしまっています。普段は等間隔で並んでいるはずのいかだなんですが密集してしまったり傾いてしまったりそんな被害が見られます」

気仙沼市の大島と本土をつなぐ「気仙沼大島大橋」のあたりでは、カキの養殖いかだをつなぎとめるアンカーのロープが切れ、一部は完全にひっくり返っていました。津波の影響とみられています。

カキの養殖を営む小松さん親子はー

小松涼太さん
「ここは比較的穏やかな場所なんですけど、”川か”と思うくらいすごく潮が速くて、ぶちぶちっといかだをつないでいるロープが切れたりというのが見えて、すごく心が痛かった」

東日本大震災から大きな被害を受け、再建を進めてきた中で再び押し寄せた津波…

小松博文さん
「ほんとね…チリの津波から始まって東日本大震災でしょ。やっと並べて、やっと収穫してまだ安定してないんですよ。15,6年経っても。またもう…がっかりしちゃって。春出し(出荷)が終わって、次、秋(の出荷)に向かって置いている状態。それでこうなったので困っちゃったな…」

いかだの損傷のほかカキが海中で脱落している可能性もありますが、警報が出る間は船を出して、確認することができず、焦る気持ちだけが募っていると言います。

小松博文さん
「早く解除になって、いち早く確認に向かいたい」

こうした被害を共有し、対応にあたろうと、宮城県は午後4時過ぎ、特別警戒本部会議を開きました。養殖場の被害は把握しているものの、人的被害は確認されていないということです。

伊藤哲也副知事
「被害状況の把握に努め、機動的に対応すべきところがれば、機動的に対応してまいりたいと考えております」

県は31日午前にも再度被害状況を取りまとめ共有する予定です。

一方、今後について、気象庁は。

「津波の現象は、長い時間繰り返し津波が襲ってきます。また第一波より後に来る波が大きいことがありますので、津波警報等が解除されるまでは避難を継続していただきたい」

また、気象庁は、カムチャツカ付近では、引き続き大規模な地震の発生が懸念されるものの、北海道や三陸沖などで、ほかの巨大地震が誘発される可能性は低いとしています。

仙台放送
仙台放送

宮城の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。