カムチャツカ半島沖を震源とする地震により、日本の太平洋沿岸にも津波警報・注意報が発表された。
津波工学を専門とする東北大学災害科学国際研究所の今村文彦教授は、被害の拡大を防ぐため「最大波は後から来る」「避難は自己判断せず、警報が解除されるまで続けてほしい」と強く呼びかけている。

今回の地震について、今村教授は次のように分析する。

「当初はマグニチュード8.0と発表されましたが、現在は8.7に修正されています。世界でも最大クラスの地震で、東日本大震災と同規模です。震源はプレート境界型で、津波が発生しやすいタイプです」

津波警報が発表された場合は、今すぐにでも避難行動を取る必要があると今村教授は警告する。

「3メートル規模の津波は沿岸部に重大な影響を及ぼします。人的被害のリスクがあり、陸上では建物などの物的被害も出ます。まずは指定された避難場所に歩いて避難してください。車による避難は渋滞を引き起こし、かえって危険です」

また、今回のように震源が遠方にある「遠地津波」では、最初に到達する波よりも後から来る波の方が大きくなる傾向があるという。

「予想到達時刻通りに津波はやってきますが、何度も波が重なって襲ってきます。最大波は予測が難しく、後から来る場合が多いのが遠地津波の特徴です」

さらに、遠地津波は波の周期が長いため、ゆっくりとした水位の変化に見えても、実際には強い流れと大きな破壊力を伴っている。

「見た目は穏やかに見えるかもしれませんが、決して油断しないでください。津波の勢いは見た目以上に強力です。甘く見ないで、避難を徹底してほしい」

今村教授は、今回の地震と同じカムチャツカ半島沖を震源とした1952年の地震を引き合いに出し、当時も日本の東北沿岸で大きな津波被害があったことを指摘する。

「1952年のカムチャツカ地震では、東北地方で3メートルを超える津波が観測されました。今回も同様の規模の被害が起きるおそれがあります」

「津波は今回のように突然発生します。1メートル、3メートルといった高さの津波であっても、命を奪う破壊力があります。過小評価せず、ただちに避難行動を取ることが重要です。警報が解除されるまで、決して自己判断で避難を終えないでください」

仙台放送
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