福島県内の夏休みにオススメのお出かけスポットを紹介する。今回は会津地方にある真夏なのに冷たい空気が吹き出る、不思議な自然スポットへ。
斜面から冷風が吹く
下郷町湯野上地区にある「中山風穴地(なかやまふうけつち)」といわれる場所で確認できるのが、夏の間斜面から冷たい空気が吹き出る「風穴現象(ふうけつげんしょう)」だ。

この日の下郷町の最高気温は33℃。この場所の気温計は17℃を示しているので約15℃も低いことになる。場所によっては1~2℃の風が出てくるところもあり、昭和の始め頃までは住民が野菜などを保存するのにも使用されていた。
不思議な仕組み
なぜ冷気が出てくるのか?その仕組みが、山の斜面に見えている「柱状節理(ちゅうじょうせつり)」と言われる割れ目。溶岩が冷えて固まる際に真っすぐにヒビが入り柱状なったもので、約200万年前から風化とともに崩れて積み重なることで、現在の地形を形作ったとみられている。

下郷町教育委員会の佐藤啓太さんは「柱のものが崩れることによって、風穴現象というものができるようになっている」と説明する。
冬の冷たい空気が柱状の岩を冷やし夏まで蓄積されていて、夏の暖かい空気が岩の間を通る際に冷やされ冷風として斜面から吹き出るという。
なぜここに高山植物が!?
この中山風穴地は、ただ涼しいだけではない。冷たい風によって、珍しい自然環境を形成している。
山の中に、紫色の花が集まって生えている場所がある。下郷町教育委員会の佐藤さんによると「こちらは冷気が溜まりやすくなっているので、涼しい場所を好む植物が集まって生育している。この特殊性から国の天然記念物にも指定されている」という。

ヤナギランやタチハイゴケは、氷河期の生き残りともいわれる北方植物。本来、標高1500m以上の高地でしか見られない植物だが、標高約500mのこの場所で観察することができる。

「中山風穴地」と呼ばれるこの場所では、山から吹き出る冷たい空気が通常の場所とは違う珍しい環境を作り出していた。夏休みの自由研究にもおすすめのスポットだ。
(福島テレビ)