戦争の記憶を次の世代に伝える高校生グループの取り組みを紹介します。
行われたのは富山大空襲の戦跡を巡るツアー。
高校生たちは戦争の爪痕が残る現場で何を感じたのでしょうか。
27日。富山駅には、富山大空襲の戦跡を巡るツアーの参加者が続々と集まっていました。
*輪音共同代表 高岡南高校3年 薬師子龍さん
「富山大空襲について学んでこれからの平和について皆さんで考えていきたい」
このツアーを企画したのは、富山大空襲の記憶の継承に取り組む高校生ボランティアグループ、「輪音」です。
*輪音共同代表 富山国際大学付属高校2年 西田七虹さん
「富山大空襲を身近に感じられるように80年前と景色は変わってきたが、至るところに80年前の痕跡が残っていて、自分たちの足で回ることによって起きたこととして捉えやすくなるかなと思い企画した」
80年前、1945年8月2日未明の富山大空襲では、アメリカ軍のB29爆撃機によって、50万発以上の焼い弾が投下され、2700人以上が犠牲になりました。
その歴史を学ぼうと、今回戦跡ツアーに参加したのは、高校生など27人です。
参加者はまず、空襲の爆心地近くにある、「天女の像」を訪れました。
*輪音共同代表 富山国際大学付属高校2年 西田七虹さん
「こちらは復興記念像、もしくは天女の像と言われている像です」
輪音共同代表 高岡南高校3年 薬師子龍さん
「街の99.5%が焦土化して2700人以上の方が亡くなられた後に、復興に思いを込めて像をつくったと聞いている」
その後、一行が向かったのは戦没者を祀る護國神社の遺芳館。
兵士がしたためた遺書や、富山大空襲で投下された実物の焼い弾を見て回りました。
*参加した高校生
「富山大空襲のことを知らなかったが新しい発見がたくさんあって勉強になった」
*参加した高校生
「どのくらいの人が亡くなったかも知らなかった。きょうたくさん学んだ」
ツアーの最終目的地は、松川沿いに今も残る常夜灯です。
*輪音共同代表 高岡南高校3年 薬師子龍さん
「体験者の証言で雨あられのように空から焼い弾が降ってきたという話がある。それを感じさせるもの」
焼夷弾が当たって欠けた石の常夜灯。
空襲の記憶をいまも無言で伝えています。
*輪音共同代表 富山国際大学付属高校2年 西田七虹さん
「欠けたところ以外にも色が黒くなっている。少し焦げた痕だと思う。」
戦後80年、富山大空襲の面影は街からは徐々に薄れていますが、参加者はその爪痕から、富山の戦争の歴史や空襲の悲惨さを感じ取っていました。
*輪音共同代表 富山国際大学付属高校2年 西田七虹さん
「せっかく空襲の痕跡があるにも関わらず、人に知られないのはもったいないこと。痕跡を私たちがこれからの世代に広めていくのが仕事なのではないかなと思う」
戦後80年、その悲惨さを若い世代みずから次の世代に伝える取り組みが芽生えています。