長野市篠ノ井に伝わる伝統野菜「小森茄子」。生産量が激減し、今、関係者は「復活」を目指しています。7月23日は生産者や販路の拡大につなげようとナス料理の試食会が開かれました。
夏野菜の味噌仕立てに、茄子の揚げびたし、茄子のデザートも。
試食した人:
「こんなに柔らかいんですね」
7月23日、長野市で開かれたナス料理の試食会。全ての料理に使われているのが信州の伝統野菜「小森茄子」です。
日本料理 ゆ庵・湯本忠仁さん:
「小森茄子の良さはきめ細かいのと皮が薄いこと。これは京都の加茂茄子にも負けないと思う」
「小森茄子」は長野市篠ノ井小森地区原産の丸ナス。玉は大きめ、果肉は厚く、密度も高いのが特徴です。
明治の頃から栽培され最盛期は120軒ほどの農家がいました。しかし、育てやすい改良品種に押されて生産量は徐々に減少。2022年には生産者は農家1軒と、授業で栽培してきた更級農業高校だけとなっていました。
そこで、生産拡大を目的に、県や市などが協議会を設置。苗を希望者に配るなどして「復活」を目指してきました。現在、生産者は10軒ほどまで増えています。
生産者:
「栽培をしているところで、1日おきに350~400個くらい切り取りをしている」
次の課題は「販路拡大」です。「小森茄子」の魅力をじかに見て、触って、知ってほしいと、7月23日は県などが長野市の生産農家・滝沢知寛さん(77)の畑に飲食関係者などを招き見学会を開きました。
飲食店関係者:
「小布施の丸茄子は使っていたけど、こんな近くにこんなにいいナスがある認識がなかった」
早速「取引したい」という声も。
飲食店関係者:
「艶もあるし、葉っぱ的には虫にやられているけど、これも農薬が少ないという証しだと思う。できれば取引させてもらえればと考えています」
飲食店関係者:
「滝沢さんの小森茄子をフランス料理にしてみたいなと、いろいろ思っていて」
「色艶も素晴らしいし、力強い味がするのではないかと思いました」
見学会の後はナス料理の試食会も。市内の和食料理店が小森茄子を使った料理を作りました。
日本料理 ゆ庵・湯本忠仁さん:
「長茄子は身の方が細いから皮をむいてしまうと、皮の味が出すぎちゃう。丸茄子は身の方が多いからナスの味がはっきり分かる」
この時期にぴったりの夏野菜の味噌仕立てや揚げびたし、炊き込みごはん、そして、茄子をシロップに漬けたデザート。4品を作りました。
旅館関係者:
「汁物とか揚げびたしなんかはよく見ると思うけど、珍しい調理法。これから伝統野菜が、これをきっかけに注目を浴びるといいなと思っています」
飲食関係者:
「付け合わせとか脇役に回るお野菜も多いけど、小森茄子は主役を張れる素材だと感じます」
小森茄子農家・滝沢知寛さん:
「プロの味でうまいですよ。俺たちのはすぐに食べられるナス料理、それこそ農家飯。
もう一山、ふた山の努力を重ねれば目標のところ、継承することの狙いも、到達していけるハードルではないかと思っている」
長野市篠ノ井の伝統野菜「小森茄子」。「復活」を目指し、こうした取り組みを今後も続けていきます。
県農政部・水谷浩史 課長補佐兼係長:
「こういった機会を設けることでその地域の野菜の良さをその地域の調理師、飲食店、ホテルの方に知っていただき、これを料理として使っていただくことが生産者の励みにもなってこれから後世に伝わっていくとというのが狙い」