瀬戸内市の国立ハンセン病療養所、長島愛生園で、亡くなった入所者を悼む慰霊の花火が打ち上げられました。花火には、偏見・差別のない社会の実現への誓いが込められています。
国の誤った隔離政策により強制収容され亡くなった人たちの魂を慰める花火。約2000発が、瀬戸内市の夜空を彩りました。国立ハンセン病療養所長島愛生園では、毎年、地域の人を招いて夏まつりが行われています。1年で一番、療養所がにぎわう日です。
(子供)
「楽しい!」
「花火がきれいだから」
「100%楽しみ」
(保護者)
「理解するのは難しいかもしれないが、こういう所があったということは大きくなって分かってほしい、なくしてはいけない」
子供を持つことを許されなかった入所者にとって、子供たちの声は特別なもの。
(入所者 石田雅男さん・88歳)
「私たちが希望していたのは子供たちの参加、祭りを盛り上げるは、ハンセン病問題の(解決にも)1歩も2歩も近づける」
入所者自治会長の中尾伸治さんには、うれしい来客がありました。
(小学生)
「中尾伸治さんがわざわざ来てくれて、いろいろ長く僕たちに話してくれて、長島愛生園について知れたし、ハンセン病についても知れたんで本当ヒーロー」
90歳を過ぎた中尾さんが、毎年学校に出向いて行う講演会。中尾さんの話を聞いた小学生が会いに来てくれたのです。
(小学生)
「差別をできるだけ少しでも、ハンセン病の差別人種差別いろいろあるけど減らしていきたい」
多い時で2000人を超えていた長島愛生園の入所者は現在69人。平均年齢は89歳で、2024年度は12人が亡くなっています。
(中尾伸治さん)
「今年は特に寂しく思う自治会で働いた人が2人も3人も亡くなる、近くの人が亡くなる、ちょっと違った寂しさ」
(2024年12月に亡くなった 田村保男さん)
「人から嫌われるのはかなり心の負担になったね」
「この病気は伝染しないと深い理解を持ってくれたらいいんだけどね」
「鉄道員になりたかったこどもの頃、SLよ。(今でもなりたい?)なりたいね」
(中尾伸治さん)
「今年もきれいに(花火)上がってほしい」
(石田雅男さん)
「慰霊の花火はみんなが亡くなっていくまで絶えることはない、亡くなっていった人を忘れてはいけないその人のお陰で現在があるといっても過言ではない、慰霊だけじゃなくて感謝」
ハンセン病の元患者たちを苦しめた法律「らい予防法」が撤廃されて、2026年で30年を迎えます。いまだ根強く残る偏見・差別。花火には、偏見・差別のない社会の実現への誓いが込められています。
(石田雅男さん)
「きっといい社会になっていく、そう思うし、信じないといけない。」