毎年多くの人でにぎわう、日本三大祭りの一つ天神祭。
ことしは大阪・関西万博の開催と重なったこともあり、外国人も多く訪れています。
しかし万博で警備員不足が生じているほか、集まった警備員も言葉の壁がある中で案内に苦戦する場面も。
またきょう=25日には花火の終了と万博から帰宅する人で公共交通機関が混雑する可能性が高く、注意が必要です。
■過去最多の人出にスタッフの配置
日本三大祭りのひとつ「天神祭」。
ことしはとにかく人、人、人!
大勢の人でにぎわうそのワケは…。
【サウジアラビアから】「万博です!万博です!」
万博期間中の開催となり、外国人の姿も多く、過去最多の人出に!
【主催者】「事故のないように祈りながらやっております」
主催者側も過去最多のスタッフを配置し臨みますが…。
いつもと違う!ワールドワイドな天神祭のドタバタを徹底取材しました!
■過去最多の理由は「万博」!
1000年以上の歴史を持つ、大阪天満宮の「天神祭」。
24日から始まり、25日のクライマックス「奉納花火」に向けて、会場にはどんどんと人がやってきています。
ことしは例年に比べおよそ10万人多い、過去最多の140万人の人出が予想されています。
その理由が…。
【サウジアラビアから】「万博でーす!」
【ポルトガルから】「万博に行くために、大阪に来ました」
【スペインから】「万博があるから、日本に旅行することに決めた」
そう、万博の開催です。
■「万博×花火」で恩恵を受ける宿泊施設
その恩恵は周辺の宿泊施設にも。
このホテルでは、天神祭の花火を見る特別プランを用意。
1部屋平均7~8万円ということで、去年は売れ残りがあったそうですが、ことしは完売したそうです。
【ダブルツリーbyヒルトン大阪城 前川博之総支配人】「万博にお越しになったお客さまが、花火もこの機に一緒に楽しみたいと、早い段階からお客さまからお問い合わせいただきました」
■「むっちゃ売れています!」万博効果を感じる露店
さらに祭りといえば「露店」ですが、のぞいてみると…店の周りには多くの人が。
たこ焼きを買いに来たのは、万博会場で一緒に働いているという日本人とスペイン人の2人組。
【大阪在住】「『たこ焼き600円か』と、ちょっと高く感じるけど」
【スペインから】「スペインだと安いと思う」
(Q.スペインだと何円ぐらい?)
【スペインから】「1000円くらい?」
万博の効果を感じているのか。店の人に聞いてみると…。
【たこ焼き店】「(海外からの客が)むっちゃ多いと思います。むっちゃ売れています!」
【去年の出店のアサイー店】「(万博影響で客は)例年よりも全然増加した」
(Q.目標の売り上げ達成できそう?)
【いか焼き屋】「できるかな。いけそうな気もする」
■『警備員を集められない』! 協賛依頼し資金集め、なんとか警備員増員
恩恵を感じる人も多くいる一方で、運営側は万博が理由で、“ある問題”を抱えていました。
【大阪天満宮広報企画室 三宅隆室長】「当初いつもの業者が、『警備員を集められない』と。万博で人が取られてしまうので、こっち(天神祭)に持ってこれないというのがあった」
万博で警備会社を探すのに苦戦し、警備の人数が足りない事態となったのです。
そこで、大阪天満宮は新たな企業に協賛を頼み、資金を集め…、なんとか警備員を300人増員して、過去最多の1100人の体制となりました。
さぁ果たして、警備体制はこれで十分なのか?取材すると。
まだ人がまばらな午後1時ごろ。徐々に警備員が集まってきますが、中にはこんな人も…。
(Q.天神祭の警備は?)
【警備員】「初めて。きょうここに来るのも、どこに行くのかなって、全然知らなかった」
(Q.急に言われて?)
【警備員】「そうです」
(Q.急に現場決まるもの?)
【警備員】「はい。(決まったのは)今朝というか、夕べ遅くです」
■ことしは外国語を話せる警備員を増員
そして、午後3時になり、徐々に見物客が増えてくると…。
英語で熱中症への注意を呼びかける警備員の姿が。
ことしは外国人観光客の増加に備え、外国語を話せる警備員を増やしたということです。
【英語対応の警備員】「『どうやったら入れる?』、『何をしているの?』とかは、(外国人に)聞かれたりします」
そして、状況に応じたアナウンスの内容について、指示を仰ぎます。
【警備員】「動き出したら立ってって(言って)。座った状態だと危ないから、立っていつでも避難できるように。『とりあえず立ってください』と」
すると、警備員の無線に何やら連絡が…。
暑さで具合が悪くなった外国人の対応にあたります。
【警備員】「こっちの暑さに慣れていないので、熱くなっちゃった。『危ないので、熱中症になるので休んでください』って」
やはり、外国人の対応は外国語が話せる警備員がいると、スムーズにいくようです。
■言葉の壁に苦戦する場面も
しかし、こうした警備員の数は限られていて、24日はこんな場面も。
こちらの女性は「周辺の店が何時まで開いているのか」警備員にたずねますが…。
【警備員】「大阪天満宮ステーション、京橋チェンジ」
英語での会話に苦戦し…。
【外国人観光客】「Until When is it?(いつまで開いてる?)」
【警備員】「This! This!」
【外国人観光客】「Until When?(いつまで開いてる?)Ten o’clock? Eleven o’clock? (10時まで?11時まで?)」
【警備員】「多分ある…大丈夫」
言葉の壁はやはり大きいようです。
■大量のごみ問題
そして、もう一つ人が増えることでの懸念が…大量のゴミの問題です。
【記者リポート】「祭りがあちらで行われていますが、すぐ近くには『ゴミを捨てないでください』と張り紙が貼られています。しかし、下を見ると食べかすが落ちていたり、あちらにはゴミが捨てられています」
天神祭では10年ほど前から、ゴミの削減に取り組む団体が、分別活動などをしていますが…24日の夜は、このありさま。
あふれたゴミ箱を気にもせず、投げ捨てる人も…。
過去最多の人出が見込まれる、大阪の夏を彩る伝統の祭り。
全ての人にとって楽しい思い出になりますように…。
■天神祭と万博の帰宅ラッシュ時間帯が被り、公共交通機関が大混雑の恐れ
天神祭の花火は午後7時半~午後9時すぎまで、大阪・関西万博は午後10時までなので、帰宅ラッシュの時間帯が被って、公共交通機関が大混雑することが予想されます。
各社増便や駅員を増やすなど対応していますが、それぞれが早めに帰宅するなどの対応も必要です。
【京都大学大学院藤井聡教授】「時間的・空間的に分散化することをみんなで配慮していけば、ピークを超えると一気に混雑するので、それを超えなかったらそれなりに対応できますから、みなさん少しずつ配慮してもらいたいです」
多くの人が集まると「人いきれ」の状況になり、熱中症や体調不良のリスクが高まります。十分に気を付けて楽しんでください。
(関西テレビ「newsランナー」 2025年7月25日放送)