2021年の東京オリンピックから正式種目に採用され、若者を中心に人気が高まっているスケートボード。福井市の足羽川河川敷には、3月にスケートボード場が開設されましたが、一部の利用者の迷惑行為などにより5月から閉鎖されています。
一方で、子供たちのためにスケートボード場作りに取り組んでいる人もいます。県内の現状について取材しました。
◆子供たちのためにと練習場を設置
東京オリンピックから正式種目に追加され、日本人選手の活躍もあって近年、人気が高まっているスケートボード。県内にはスケートボード界の未来のために、場所づくりに動く人たちがいます。
あわら市にある休校中の波松小学校の校庭でスケートボードをできるよう整備しているのが、あわら市スケートボード協会の下方健大会長です。
下方会長の父親・清隆さんも「息子のやりたいことを応援したい」という思いで協力しています。
下方会長は「滑れるところがないのは寂しいよね、ということで皆に普及するように育っていったらいいなという思い。(スケボーをする)キッズたちが増え、上手くなって大会で優勝しているのを見ていると応援したくなる。近所の人たちに見守られて子供たちがワイワイガヤガヤするのが理想」と語ります。
父の清隆さんも「あそこに任せておけば大丈夫と思われるような場所にしたい」といいます。
他にも、坂井市の競艇場・ボートレース三国には空いていたスペースを活用して屋内の
スケートボード場が完成し、7月5日にオープンしました。
◆福井市では一部の利用者の迷惑行為で練習場が閉鎖
しかし、人気の高まりとともに県内にはマナー違反による地域とのトラブルが課題となっている場所もあります。
福井市の足羽川の河川敷に新設されたスケートボード場は、2025年3月に開設された
ばかりですが、わずか1カ月あまりで一時閉鎖となってしまいました。
背景には、一部の利用者によるごみのポイ捨てや無断駐車などのマナー違反と、地元からの苦情がありました。
近くのカフェ店では、営業時間外に駐車場に許可なく車を止める人がいたということです。
店の関係者は「単純に困る。始まったばかりのことでどう対応していいかも分からないが、お互い気持ちよく使いたいという思い。せっかく作ったのに寂しいという気持ちもある。小さいお子さんがスケボーをもって楽しむ姿もあったので」と複雑な心境を語ります。
◆滑られる環境に「感謝の気持ちを」
スケートボード場づくりに尽力し、鯖江市でスケートボードスクールを経営している県スケートボード協会の上杉政充会長は、足羽川のスケートボード場が閉鎖したことについて「作るまでに何年もかかってみんなで話し合いながら調整をしてやっと出来た場所なのに、1カ月で閉鎖になってしまい残念。地元の愛好者がルールを守ってくれないと再開という決断にはもっていけない」と話します。
その上で、こう注意喚起します。「スケートボードをしている人は自分の行動が間違いないのか確認して、滑れる場所という環境に当たり前にならずに、感謝の気持ちをもってスケートボードをしてほしい」
足羽川のスケートボード場を管理している県は現在、無断駐車や騒音などのトラブル再発の防止策を協議していますが、再開の見通しは立っていないとしています。
一部のルールを守らない人の振る舞いで、子供たちの夢を育む場所が奪われてしまっている現状。
利用者がマナーを守りスケートボード場が地域と共生できる場所になれるかどうかは、県内のスケートボード界発展への1つのカギとなりそうです。