アメリカのトランプ大統領は7月23日朝、関税措置をめぐる交渉で日本と大規模な合意を締結し、日本への相互関税を15%にすることなどを明らかにしました。東海地方の部品メーカーやコメ農家に、影響について話を聞きました。
■自動車に関する関税 半分の「12.5%」に
トランプ大統領が「歴史上最大の貿易協定」と表現した、トランプ関税についての日米交渉。
23日朝、トランプ大統領によるSNSへの投稿で「日本は相互関税としてアメリカに15%を支払う」として、関税措置をめぐる交渉で日本と大規模な合意を締結したことが明らかとなりました。
日本への相互関税は当初、25%とされていました。この結果を受け、石破首相は「対米貿易黒字を抱える国の中で、これまでで最も低い数字」として交渉の成果を強調しました。

石破首相(23日午前):
「守るべきものは守った上で、日米両国の国益に一致する形での合意を目指してまいりました。今回、トランプ大統領との間でまさにそのような合意を実現することができた」
日本の政府関係者によると、交渉の最大の焦点となっていた自動車に対する25%の追加関税については、半分の12.5%に。もともとの税率である2.5%とあわせて、15%とすることで合意しました。
また、日本がアメリカに対して5500億ドル、およそ80兆円の投資をするほか、コメなどの農産物を含む市場を開放するとしています。
■名古屋の部品製造会社は“胸をなでおろした”
この結果を受けて、名古屋市守山区で自動車内外装部品を生産する「白金鍍金工業」に話を聞きました。

白金鍍金工業の笹野真矢社長:
「15%に抑えられたのは非常にありがたいといいますか、成果なのかなと」
笹野社長は、今回の合意を受けてひとまず胸をなでおろしたと言います。
笹野社長:
「(納入先の)自動車部品メーカーさんから『価格を下げてほしい』というお声が上がってきていまして、原価低減を進めていた。自動車メーカーさんが現地生産を増やさないかという懸念があったが、その動きが緩和されればなと思っています」
およそ80兆円のアメリカへの投資の中で、自動車が対象になる可能性を懸念しつつも、引き続き原価低減などの対応を進めるとしています。
笹野社長:
「価格転嫁の幅も抑えられるのかなと。販売数が大きく減らなければ、日本の生産も落ち込みは少なく生産していけるのかなと」
■コメ農家「分かりづらいところではあるが…」
愛知県弥富市を中心にコメを生産する農家「鍋八農産」は…。
鍋八農産の八木輝治代表:
「正直、関税という中では、農産物にどこまで影響があるのか、正直分かりづらいところではあります」

政府関係者によりますと、コメは毎年関税をかけずに一定量を義務的に輸入している「ミニマムアクセス」の枠を維持し、その中でアメリカの輸入割合を拡大するということです。
八木代表:
「ミニマムアクセスの用途は詳しくは存じ上げませんが、よく聞く話では主食以外のものに展開していくということで。私たちも、主食以外にも加工用米はかなり作っていて、価格もどのぐらい影響されるのか気にはなりますね」
■専門家の見解 暮らしにとっては「プラスになる」
コメの価格に行方について、中京大学経済学部の内田俊宏教授に聞きました。
内田教授は、「備蓄米を大量に放出したところなので、食料米としてアメリカの米が入ってきてもまずはそちらに回るのではないか。したがってコメの値段が大きく低下することもないが、日本の農家の所得が減ることもないのではないか」としています。

今回の合意が私たちの生活にどのような影響が出るのかについては、内田教授は、私たちの暮らしに「プラスになる」と話しています。
相互関税が15%になるということで、トヨタ自動車をはじめとするメーカーや部品の製造など関連する企業にプラスの効果が出る可能性が高いとしています。これによって、2026年以降の春闘での賃上げ率にも影響があり、個人消費もプラスに働くのではないかということです。
(東海テレビ)