日本犯罪史に残る「世田谷一家殺害事件」は、未解決のまま25年が経とうとしている。事件から四半世紀が経過する中、これまで警視庁は、犯人の推定年齢を「15歳から20代」としてきたが、DNA解析により「30代」の可能性もあることが、FNNの独自取材で新たに分かった。犯人は現在50代から60代に…。新たな犯人像を浮き彫りにした“DNA解析”だが、犯人検挙に向けては、いまだ壁が立ちはだかる。

2000年12月31日…4人殺害後も居座った犯人

25年前の大晦日、日本中を震撼(しんかん)させた世田谷一家殺害事件。

事件発生を報じるニュース(2000年12月31日)
事件発生を報じるニュース(2000年12月31日)
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発生を報じるニュース(2000年12月31日放送):
こんばんは。20世紀最後の日に閑静な住宅街で惨劇が起きました。
東京世田谷区の住宅で一家4人が首を刃物で刺されるなど死亡しているのが見つかり…。

2000年12月、大晦日の朝。
東京・世田谷区の住宅で、家族4人が全員惨殺された状態で見つかった凄惨な事件が起きた。

殺害された宮沢さん一家
殺害された宮沢さん一家

殺害されたのは、会社員だった宮沢みきおさん(当時44)と妻の泰子さん(当時41)。
そして当時小学2年生の長女・にいなちゃん(当時8)に、小学校入学間近だった長男の礼くん(当時6)。

礼くんは首を絞められ、残る3人は何度も刃物で切りつけられて殺害されていた。

犯人は殺害後も現場に居座った形跡
犯人は殺害後も現場に居座った形跡

この事件の凄惨さを物語るのは、犯人は4人を殺害した後も宮沢家に居座り、冷蔵庫のアイスクリームを食べたり、みきおさんのパソコンを使うなどの形跡があったことだ。

現場には犯人が脱ぎ捨てていったジャンパーや、当時若者の間で流行っていた“ラグランシャツ”。さらにチェックのマフラーなどが残されていた。

2018年に犯人の推定年齢「15歳から20代」と発表も…

警視庁は2018年に、犯人が現場に残した服装やヒップバッグのベルトの長さから推測される腰まわりの細さなどで、犯人の推定年齢を「15歳から20代」と発表した。

犯人は「少年」または「若い男」と思われてきた。

しかし、FNNの独自取材で、新たな犯人像が浮かび上がってきたのだ。

現場に残された犯人のDNAを警視庁が専門機関に依頼し解析したところ、犯人の推定年齢はこれまでの推定年齢より高い「30代」との結果が出ていたことが明らかになった。

この推定によれば、犯人は現在50代から60代。
これまで公表してきた推定年齢より年上である可能性が出てきたのだ。

警視庁の捜査員は「犯人は30代でも違和感はない」とし、次のように話す。

警視庁の捜査員:
現場に残された犯人のものとみられる服やヒップバッグは若者風であることから、10代や20代と思われているが、それが犯人がいつも身につけたものか、犯人が自分で買ったものか分からない。

事件現場に残された血液などから犯人を特定する“DNA解析”。

捜査員が現場で撮影した写真
捜査員が現場で撮影した写真

捜査員が現場で撮影した写真が残っている。

犯人が直接かぶりついたと思われるアイスクリームのカップには唾液が付着。

さらに犯行で手にけがをし、自らの血液という決定的な証拠も現場に残していた。

専門家「誤差は2、3年でかなり高い精度」

専門家は、最新のDNA解析で年齢を推測することについて「誤差は2、3年でかなり高い精度」とした上で、「日本はDNA解析を犯罪捜査に活用するべき」と主張する。

北里大学医学部法医学・落合恵理子助教
北里大学医学部法医学・落合恵理子助教

北里大学医学部法医学・落合恵理子助教:
過去の文献で唾液からも年齢の推定が可能というのがあるので。
未解決事件に関わる検査として活用されていくのは、いいのではないかと思う。

重大事件解決の手がかりになる可能性がある“DNA解析”は、海外では広く活用されている。

2010年にアメリカ・ユタ州で起きた殺人事件では、現場から採取した犯人のDNAから似顔絵を作成。

逮捕された犯人は、似顔絵とうり二つ
逮捕された犯人は、似顔絵とうり二つ

その後、集まった情報などをもとに逮捕された犯人は、似顔絵とうり二つだったのだ。

こうした最先端技術で、アメリカなどではすでに345件以上の事件を解決したという。

顔の特長など割り出す最先端DNA解析…日本では行えず

フジテレビの上法玄解説委員は、日本にはDNA解析で犯人を捜査する法制度が進んでいないと指摘する。

日本で認められているDNA捜査とは
日本で認められているDNA捜査とは

フジテレビ 上法玄解説委員:
日本で認められているDNA捜査は、現場に残されたDNAとある人物のDNAが一致するかどうか、これだけを鑑定することができます。

警察庁は「警察で行うDNA型鑑定に使用されるのは、DNAのうち身体的特徴や病気に関する情報が含まれていない部分」としている。

つまりアメリカのように顔の特長などを割り出すDNA解析が、日本では行えないのだ。

フジテレビ 上法玄解説委員:
DNAでさまざまな犯人のプロファイリングができる技術が、年々飛躍的に進歩していることから、例えば重大な未解決事件に限って、現場に残された犯人のDNAを活用して、それを解析することにより犯人像を新たに浮き彫りにしていくことは、今後求められて行くことだと思う。
(「イット!」 7月24日放送より)

情報提供:成城署
03-3482-0110

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