石破首相は23日午後、麻生最高顧問ら首相経験者3人との異例の会談のあと、取材に応じました。
参院選の敗北を受け、進退はどうなるのか。
答えは意外なものでした。
石破首相:
私の出処進退について、一切話は出ておりません。
石破首相を巡っては「退陣の意向を固めた」という報道があり、街では号外が配られました。
街の人からは「『退陣しない退陣しない』と言ってたのに、まさかこんなすぐ退陣なんて、ちょっとびっくり」「いろいろ首相になる前に言っていたことと、なってからのことが全然違う」と言った声も。
しかし、先ほど行われた会談後に退陣報道を否定。
23日に合意された日米関税交渉について、「国民生活を守るため全力を尽くしていく」と強調したのです。
23日朝、石破首相はアメリカとの関税交渉が合意したと明らかにしました。
石破首相:
相互関税について、25%まで引き上げられるとされていた日本の関税率を15%にとどめることができました。これは対米貿易黒字を抱える国の中で、これまでで最も低い数字です。
トランプ大統領も日本との合意を発表。
日本への相互関税を15%にすると明らかにしています。
トランプ大統領:
私は歴史上最大の貿易協定に署名した。その協定を日本と締結した。
ワシントンを訪問している赤沢経済再生相は、日本時間午前4時過ぎにアメリカ財務省に入り、交渉を主導するベッセント財務長官と協議しました。
事態が動いたのは、そのあと。
赤沢大臣がホワイトハウスを訪れたのです。
その後、トランプ大統領はSNSで「たった今、日本と大規模な合意を締結した。おそらく史上最大の取引だ」と投稿。
25%まで引き上げるとしていた日本への相互関税を15%にすると明かしました。
焦点となっていた自動車への追加関税も引き下げ。
半分の12.5%とし、もともとの税率である2.5%と合わせて、15%で合意したことが明らかになっています。
ホワイトハウスのXでは、トランプ大統領と赤沢大臣が目を合わせてがっちりと握手をしている画像が投稿されています。
赤沢大臣がSNSに投稿した画像を見ると、満面の笑顔を浮かべながら、石破首相とトランプ大統領の写真を指し示しています。
さらに、ホワイトハウスを出て車に乗り込む際には、交渉の電撃合意を誇るかのように、関係者に向かって親指を立てる“サムズアップ”のポーズをとっていました。
急転直下の関税交渉の合意に号外も配られ、街では「25%はちょっときつかったけど、15%ぐらいは良いんじゃないかなと思う」「25%にならなくて良かった。頑張ったのかなと思う」「他国とのことを考えると、日本だけ特別扱いはしてもらえないのかな」といった声が聞かれました。
日経平均株価は急速に値上がりし、一時、上げ幅は1500円を超えました。
日本貿易会・安永竜夫会長:
民間企業が不安視していた不透明感がぬぐわれたことを大きく評価したい。
日本経済の屋台骨である自動車業界からは、評価する声が上がっています。
自動車部品会社「白金鍍金工業」・笹野真矢社長:
政府が粘り強く交渉してくれたおかげで、関税が25%から15%に抑えられたのは非常にありがたい。成果なのかな。
これに対し、もう1つの焦点だった農業分野。
今、世界的にブームが起きている抹茶。
お茶農家はどう感じているのでしょうか。
お茶農家:
トランプ大統領の発言を見ると、いつどんな形で言われるか分からない状況。不安要素のほうが強かった。政府間で15%という数字が一応確定したということに関しては、言葉は悪いが、ある意味ホッとした。これで仕方がないなというのが正直なところ。
一方、コメについては年間77万トン程度を無税で輸入する現行のミニマムアクセスの枠内で、アメリカからの輸入を拡大することになります。
コメ農家からは不安の声が上がっています。
コメ農家「ふるかわ農園」・古川勝幸さん:
輸入米が入ってくれば、政府は「再生産可能な価格にしなくてはいけない」と言っているが、輸入米が安いんだから、それに(価格を)合わせるから上がらないのでは。
午後2時から麻生最高顧問、岸田前首相、菅元首相の3人の取材経験者と会談した石破首相は、会談終了後に取材に応じ、自身の退陣報道について否定しました。
石破首相:
私の出処進退については、一切話は出ておりません。一部にそのような報道がございますが、私はそのような発言をしたことは一度もございません。
しかし、即時退陣を求める自民党の一部議員や地方組織も出てきています。