7月20日投開票の参議院選挙。岩手県内の情勢やこの選挙がどんな意味を持つのかについてお伝えします。
(解説:井上智晶アナウンサー)
今回の参院選は「事実上の政権選択選挙」とも言われています。
政権選択選挙とは、通常、解散があり得る「衆議院選挙」を指す言葉ですが、なぜ今回そう呼ばれているのかを説明します。
参議院は議員定数が248、任期は6年となっていて、3年ごとに半数ずつ改選されます。
今回は東京の欠員補充1議席を含め125の議席を争う選挙となっています。
与党である自民・公明両党は非改選の議席が75あるので、今回50議席を確保すれば過半数を維持できます。
しかしそれを割り込むと衆議院に続いて参議院でも「少数与党」の状態になります。
そうすると与党が数の力で法案を通過させることができなくなり、今後の政権の枠組みにも影響することが考えられるため、「事実上の政権選択選挙」と呼ばれているわけです。
ーー与党の過半数の維持は厳しいという見方も出ていますね。
FNNでは7月17日に電話調査を行い、これまでの調査も踏まえたうえで終盤の情勢を分析しました。
それによりますと、自民・公明両党は厳しい戦いを強いられる候補が増えていて、獲得できるのは40議席台にとどまる情勢です。過半数を割り込む公算が大きくなっています。
岩手選挙区の結果も注目されますが、あらためて4人の候補のプロフィールなどを紹介します。
N党・新 吉田博信氏(59)
「サラリーマンは今では『五公五民』と言われている。(所得の)50%が税金になっているというという話もあり、減税すべき」
NHK党の新人吉田博信氏は秋田市出身の59歳。
公示前まで都内の大手電機メーカーに勤め、携帯のカメラに使う半導体の開発に携わっていました。
趣味はバドミントンで大学から40年ほど続けています。
立憲・現 横澤高徳氏(53)
「ガソリン代・軽油代、これ今すぐ引き下げる。暫定税率の廃止、生活必需品の消費税を減税し皆さんの使えるお金を増やす」
立憲民主党の現職・横澤高徳氏は矢巾町出身の53歳。
25歳の時に事故に遭い車いすでの生活となりましたが、2010年のバンクーバーパラリンピックにチェアスキーで出場しています。
2人の息子がいて、長男は矢巾町議会議員、次男はモトクロスのプロライダーです。
参政・新 及川泰輔氏(46)
「物価も高い。年金・社会保険料、給料から取られていく。こんな脆弱な年金制度でこれからどうやって老後を迎えればいいのか」
参政党の新人・及川泰輔氏は宮城県登米市出身の46歳。
就職氷河期世代で、外食産業に従事した後、現在は金ヶ崎町の自動車部品製造工場に勤めています。
25歳と14歳の2人の息子がいて、趣味は読書とウォーキングです。
自民・元 平野達男氏(71)
「この人口減少社会に適応した社会づくりに向けた日本のビジョン、その構築の真ん中に座りたい」
自民党の元議員・平野達男氏は北上市出身の71歳。
農林水産省の官僚を経て、2001年の参院選で初当選し3期を務めました。
趣味はジョギングで、小学1年の孫娘と電話で話すのが癒やしの時間だということです。
ーー情勢はどうなっているんでしょうか。
FNNの12日・13日の調査では、立憲民主党の現職・横澤氏が一歩リードし、自民党の元議員・平野氏が追う展開。参政党の新人・及川氏も懸命に追いかけています。
ただ投票先を決めかねている人もいますので、情勢は変わる可能性があります。
では各候補を支持する人の年代ごとの割合をみていきます。
NHK党の吉田氏を支持する人の年代の割合は、20代以下の若い層が多いという結果になっています。
立憲民主党の横澤氏を支持する人は50代以上が多くなっています。
参政党の及川氏の支持者は40代が最も多く、次いで50代が多くなっています。
そして自民党の平野氏の支持者は50代以上が多いという結果になっています。
では過去の岩手選挙区での参院選の結果を振り返ります。
補欠選挙を除く過去5回では、3年前に自民党の候補が議席を獲得したほかは、無所属など自民党以外の議員が勝利しています。
しかし3年前も6年前も接戦でしたので、今回どんな結果となるのか注目されます。