セブン‐イレブンを傘下に持つセブン&アイの株価が17日、200円以上下落した。カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタール社の買収提案の撤回が理由だと見られる。セブン&アイ側は、買収撤回の理由に対し反論しているが、単独で経営を続け、地域に根差した店舗が増えていくのではないかと専門家は指摘する。
“買収提案”撤回…株価200円以上値を下げる
17日、コンビニ最大手「セブン‐イレブン」を傘下に持つ「セブン&アイ・ホールディングス」の株価が、終値で200円以上値を下げた。理由とみられているのが、カナダのコンビニ大手「アリマンタシォン・クシュタール」が発表したあるリリースだった。

アリマンタシォン・クシュタールのリリース:
セブン&アイ・ホールディングスへの買収提案を撤回した。
クシュタールは買収撤回の理由について、「誠実で建設的な協議に応じてもらえなかった」などとコメントし、セブン&アイ側を強く批判した。
北米やヨーロッパなどでコンビニを展開するクシュタール社が、「セブン&アイ」の買収を提案したのは、2024年7月だ。
2025年3月には、会長が来日した。
クシュタール社・ブシャール会長:
私たちとセブン&アイで、地域の卓越性と世界的なコンビニエンスチャンピオンの力を融合させることができます。

買収への意欲を示していたが、「時間が掛かっていることにフラストレーションが溜まる」と不満も口にしていた。
一方、セブン&アイ側は社長交代を発表した会見で、スティーブン・デイカス社長は「クシュタールが企業価値を高めるかは私も分かりません」と言及し、協議を続けながら、まずは単独で企業価値の向上を目指す方針を示していた。

あれから約4か月、今回クシュタール社が買収の撤回を発表したことに、セブン&アイ側は「不本意であり、数多くの誤った記述について賛同しかねる」と反論しつつも「想定され得たものと受け止める」などとコメントした。
全国一律型店舗から‟地域密着型店舗”へ…再成長へ挑戦
ここからは、買収撤回で今後セブン&アイはどうなるのか解説する。

青井キャスター:
買収撤回で、喧嘩別れのようになってしまったわけですが、今回の買収撤回について、フジテレビの智田裕一解説副委員長に聞きました。
クシュタール側ですが、アメリカで売り上げが伸びずに資金力が低下した。それが買収撤回につながった可能性もあるのではということです。セブン側では、買収提案も検討しながらですが、単独で経営を進める腹づもりが強かったと見られているということです。今後ですが、買収撤回で、当面は従来どおり日本型経営維持に期待ということになります。
宮司キャスター:
利用者としては、セブン&アイホールディングスが、2025年度第1四半期決算の国内コンビニ事業の売り上げが2024年の同期比マイナス0.7%と、コンビニ事業に苦戦しているという情報もあって、今後のセブンどうなるんだろうと気になりますね。

青井キャスター:
その辺りも智田さんに聞きました。今後について、セブンはレジ横商品の強化などしてきたのですが、新鮮味がなく物足りないという声もありました。今後、新しい商品サービス戦略の打ち出しが、今まで以上に求められるのではないかということです。
新しい商品サービス戦略について、消費経済アナリストの渡辺広明さんに聞きました。これまでセブン‐イレブンは、全国一律が売りだったわけですが、地域に根差した店舗が増えていくのではないかということでした。7月11日に、札幌では北海道特化型の1号店「セブン‐イレブン 南7条店」が開店し、地元の皆さんに合わせてジンギスカンの冷凍肉とかバーベキュー用の薪などを販売するということです。地域の実情、地域に根ざした店舗が今後のポイントになるのではないかということです。
SPキャスター柳澤秀夫さん:
渡辺さんの意見に大賛成ですね。地域に愛されて地域に溶け込まないと、これからやっていけないと思います。その土地でなければと、他の地域の人がそこまで行って、何か買いたくなるようなものを並べるということです。
青井キャスター:
全国一律の良さって、今まであったのかもしれないけども。
宮司キャスター:
安心感というのは、どこに行っても一緒というのはあるかもしれないですね。でも、たくさんサービスも飽和状態ですから、ここからどれだけ新しいものを作れるかですね。
SPキャスター柳澤秀夫さん:
どれだけ自分たちの特色を出せるかというのが、問われると思います。
青井キャスター:
全国各地、コンビニエンスストアがたくさんありますし、その中で売りを出していくのはなかなか厳しいかとも思います。
SPキャスター柳澤秀夫さん:
本当に腕の見せどころでしょうね。
これからコンビニがどのように変わっていくのか、注目していきたい。
(「イット!」7月17日放送より)