7月17日は「喜多方ラーメンの日」。喜多方の「喜」を草書体で書くと七十七に見えることにちなんで、2023年に記念日として制定された。多くの人に親しまれる喜多方ラーメンだが、ある課題も出てきている。

■朝から食べたい喜多方ラーメン
醤油を基本とした透き通ったスープ、そしてスープに良く絡む平打ちの縮れ麺…これが日本三大ラーメンの一つ「喜多方ラーメン」だ。
福島県喜多方市といえば、朝からラーメンを食べる「朝ラー」文化。長野県から食べに来たという客が「ここへ10回以上来ているが、朝から混む」と話すように、この日も朝から行列ができていた。

■直面する後継者問題
ファンが多い喜多方ラーメンだが、後継者がいないという課題も抱えていた。
人気店の一つ「食堂なまえ」は、太い麺とコクのあるスープが自慢。親子2代で創業当初から変わらぬ味を守り続けている。ここで生江孝平さんに話を聞くと「後継者いないから、もう私の代で終わりという食堂の方がいる。本来ならば続けてもらいたかったっていうのが本音」という。
20年前には、約50軒の加盟店があった「蔵のまち喜多方老麺会」。高齢化と後継者がいないことなどから、その数は減少し現在は33軒。
生江さんは「他の人にお店のラーメン作らせることは、全然考えていない。食堂というのは、味が変わってはいけない。味だけは気をつけないと」と話す。
息子の一浩さんも「親子間で店を継いでも、味が変わるっていうくらいなので、代替わりして常連が離れていくという話は聞いていたので、それだけは気をつけようと思う」と語る。

■こだわりの味 事業承継は難しい?
2024年に喜多方市が、市内のラーメン店を対象に事業承継について行った調査では「将来的に廃業を検討」あるいは「事業承継についてまだ決めていない」との回答が、合わせて54%となっている。
藏のまち喜多方老麺会・代表理事の花見拓さんは「こだわりとプライドをもって、長年喜多方ラーメンを支えてきた老舗ばかり。そういった店主が安心して店を任せるというのは本当にハードルが高い。喜多方老麺会としては、高齢になってきた店主のところが一年でも二年でも長く続けていけるような形になっていければ」と語った。

■ラーメン店じゃないのに!?
クラフトビールを楽しめる居酒屋「SAKABA!ばぶるす」に来ていたお客さんのお目当ては、ビールだけではなく…ラーメン。
オーナーの新明孝宏(しんみょうたかひろ)さんは「喜多方市の夜の飲食店でラーメンを出しているところが少ないという現状もあり、客の要望に応える形で始めた」と話す。
新明さんは、かつてラーメン店を経営。しかしコロナ禍で客足が遠のいたことから、代わりに現在の居酒屋を始めた。常連客からの要望もあり提供するようになったラーメン。「喜多方ラーメンは、小さい時から馴染んでいるもの。無くてはならないもの。時間が許す限りラーメンを続けて行きたい」と話すように、同じ飲食店として大切な文化を守っていきたいと考えている。
このように喜多方市内では、ラーメン会の加盟店以外でもラーメンを提供する飲食店が増えているという。

■市をあげて課題解決へ
地域全体で喜多方ラーメンをどう盛り上げていくかの模索が続いていて、喜多方市役所には「ラーメン課」があり、後継者の問題を解決しようと事業承継を希望する場合にマッチングや、地域おこし協力隊にラーメン店の開業支援など取り組みを進めている。

店ごとに麺やスープとその店ごとのこだわりがあり、バリエーションの多さ、多様さが喜多方ラーメンの魅力。これからも守り続けてほしい味だ。

福島テレビ
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