「福島県は1.15」これは、1人の女性が生涯で産む子どもの数=合計特殊出生率だ。福島県は2016年から8年連続で過去最低を更新している。また、2024年に福島県内で生まれた子どもの数は8216人とこれも過去最少。少子化に歯止めがかからないなか、子育て世代が抱える不安とは?
■子育てにはお金がかかる
福島県福島市にある子育て支援センター「みんなの家@ふくしま」は、福島市の委託を受けたNPO法人が一軒家を改築して開設。子どもが自由に遊べるスペースを無料で解放し、親子で楽しむイベントも定期的に開催している。
利用者は「スタッフが優しくて、子どもを見ててくれるし話し相手にもなってくれるので癒しの場所」と話す。
利用者のほとんどが、未就学児の子どもを持つ家庭。子育てが始まったばかりの親同士、日常のささいな本音を打ち明けることができる貴重な場になっている。
子育て世代が抱えている不安の多くは、経済的な負担の大きさ。4カ月の子どもを育てる女性は、将来的に3人の子どもが欲しいと話すが…「進学していくにつれて、このくらいかかるんだっていうのを考えると、今の支援金だけでは絶対に育てていけない。どこかで金銭面的なことを考えてまだかなとか思ってるうちに、年をとっていくって感じ」という。
■中学卒業までに1900万円
内閣府の調査をもとにすると、子ども1人が中学卒業までにかかる費用は教育費なども含めて約1900万円。未就学児の時期だけでも、年間約100万円近い出費だ。
福島市では妊娠と出産の届出に対してそれぞれ5万円、3歳未満の子どもには月1万5000円を給付する支援などを行っているが、物価の上昇もあり根本的な課題の解決には至っていない。
経済的な基盤の確保と、子育てを両立できる環境や仕組みづくりも重要な課題だ。
4カ月と2歳の子どもを育てる人は「これから仕事に復帰していく身ではあるので、復職してからも子育てしながらでも働きやすい環境がもっと整っていけばいいなと思います」と話す。
■地域全体で子育てを
子育てをする親の悩みに寄り添ってきた、子育て支援センター「みんなの家@ふくしま」施設長の加藤恵美さんは、安心して子どもを産み育てるためには、経済面の支援に加え生活のサポートができる場を整えることも欠かせないと話した。
出産と育児をためらわない社会にするために、子育て世代の本音に応える政策が求められている。
■深刻な少子化 地方では若者流出も
全国では2024年に出生数がはじめて70万人を下回り、少子化が深刻になっているが、福島県でも人口減少が顕著だ。30年ほど前には210万人を超えていた福島県の人口だが、2025年6月1日時点で約172万4000人と40万人も減っている。
特に福島県の年代別の人口を見てみると、生まれてくる子どもの数だけでなく、特に20代前半の若者の流出が顕著だ。
■5人の候補者の訴え
福島選挙区の各候補者は少子化についてどう考えているのか?
大山さんは「子ども1人につき10万円を給付して経済不安を解消」、越智さんは「子どもが必要ないと思っている人がいる以上どうしようもない」、森さんは「女性の流出に対する政策の優先順位を上げるべき」としていて、石原さんは「雇用の安定化や家族支援の充実、年功序列の見直し」などを掲げている。遠藤さんは「担い手不足解消のために子育て支援策拡充の環境を整えるべき」としている。
人口減少はこれから先の福島・日本の存続にも関わる大きな問題だ。投票日は7月20日、当日投票に行けない方は期日前投票を活用して皆さんの思いを届けてほしい。