2045年の福島県外最終処分に向け、全国的な理解醸成の一歩になるのか?中間貯蔵施設に保管されている除染土について、環境省は総理官邸での再生利用を進めるため、7月19日にも初めて県外への運び出しを行うことが分かった。

■除染土の再生利用まず首相官邸で

福島県内で出た除染土や廃棄物を安全に管理するため、双葉町・大熊町にまたがって整備された中間貯蔵施設。2015年3月から搬入がはじまり現在、約1400万立方メートルが保管されている。
この除染土のうち、国は放射能濃度が比較的低い土について、公共工事などでの再生利用を進めるため、率先して総理官邸で利用する計画を示していた。浅尾環境大臣は「官邸というのは、まさに日本の象徴的な場所のひとつであります。そこにおいて、安全性をしっかりと示していく」と発言していた。

■19日にも除染土の運び出し

複数の関係者によると、除染土は7月19日にも中間貯蔵施設から総理官邸に運び出され今週末に施工を開始することがわかった。
運び出される除染土は約2立方メートルで、官邸の前庭で活用される計画だ。福島県外に除染土が運び出され、再生利用されるのは今回が初めて。

■除染土の再生利用 理解進むか

受入れ先をめぐり調整が難航してきた除染土の再生利用。全国的な理解が進むきっかけとなるのかが注目される。

■除染土の現状と課題

中間貯蔵施設に運び込まれた除染土などは、現在1411万立方メートルに上る。このうち約4分の3が再生利用可能な1kgあたり8000ベクレル以下。公共工事などに使用しても、年間追加被ばく線量は1ミリシーベルトを下回り、安全が確保される数値とされている。
政府はこれらの除染土の再生利用を進めるため、飯舘村の長泥地区での実証事業を進めているが、肝心の県外での利用については、新宿御苑や埼玉県所沢市で花壇などでの利用を検討してきたものの、周辺の反対などで実現には至っていない。

国は放射能濃度が基準を超えた土について、2045年3月までに福島県外で最終処分することを法律で定めているが、これを実現する前提となるのが再生利用の促進だ。今後、官邸での先行事例に続く活用場所が出てくるのか、政府の情報発信に期待が集まる。

福島テレビ
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