今回の参議院選挙で、争点に急浮上してきた「外国人政策」について、関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」では、橋下徹さんが日本の人口が減少する中で、「選挙で問うのはどう受け入れるか。無制限ではなくルールを守って」と述べたうえで、「(外国人が)3割ぐらい入ってこないと、(今後の日本社会は)成り立たないんじゃないか」と指摘しました。

■各党の「外国人政策」 参政党が火付け役 無視できないムーブメントに

外国人をめぐる政策の各党の公約

【自民】「免許手続き・不動産所有に毅然と対応」
【立憲】「外国人労働者の人権保護、『多文化共生社会』の実現」
【公明】「在留管理の高度化、『不法滞在者ゼロ』を目指す」
【維新】「外国人比率の上昇抑制など人口戦略を策定」
【共産】「外国人労働者の権利を保障」
【国民】「土地取得を法規制、インバウンド免税の見直し」
【れいわ】「『移民政策』反対も排外的考えとは一線を画する」
【参政】「『日本人ファースト』外国人受け入れは慎重、『外国人総合政策庁』を設立」
【社民】「移民・難民の排除はせず、多文化共生の社会を目指す」
【保守】「入管難民法の改正と運用の厳正化」

ここにきてかなり話題に上がるようになった背景について、「無視できないムーブメントが起きている」と関西テレビ 加藤さゆり報道デスクは言います。

【関西テレビ 加藤さゆり報道デスク】「各党が街頭演説でも言うようになりました。政府もきのう、新しく組織を発足させました。外国人との共存社会を目指すための推進室(外国人との秩序ある共生社会推進室)というのを作りました。色々な問題がありましたよね。例えば外面切り替え、免除の問題、保険料の未納問題であるとか、そういった問題をまず1回洗い出して、制度の見直しを図ろうと政府も言いだしました。

その背景にあるのは、今、急激に躍進している参政党ですね。参政党は『日本人ファースト』をキャッチフレーズに謳っているんですけれども、例えば街頭演説で言った話がSNS上で拡散したりして、無視できないようなムーブメントが今起きていると。それに対して各党も反応がいいので、それを触らざるを得ないと。そういうこと実際おっしゃってる陣営の方もいらっしゃいました。無視できない状況になっているっていうのが現状だと思います」

【青木源太キャスター】「排斥、差別につながることを望んでる人はいないと思いますけれども、外国人政策に対する関心が高まっている現状があります」

【橋下徹さん】「SNSがなかった時代は、外国人だけを対象にして、何かルールを作るなんて言うのは、ある意味タブーだったんですよ。だから僕らもそういうことを言っていませんでした。10年前とか。それを言うと何が起きるかというと、大手の新聞メディアとか、テレビメディアのコメンテーターから、“きれいごと”で、『外国人と共生だろう』とか、『そんな差別するな』と、そういうことをわんわん言われるから、そういうのが面倒だから言わなかったところがあるんですよ。

でもSNSの時代になると、もうその中で色んなことが語られていて、しかも僕も、差別ではないと思うんですけど、例えば、新幹線のホーム中で弁当を広げて食べてる外国人観光客がいると、『いやいや、ちょっとそれ日本では待ってよ』と言いたくなる気持ちはあります。

どこかで日本人がもしそういう気持ちを持っていた場合に、今までは誰も政治家が言わなかった。建前にきれいごとで。それをSNSで広がってきて、パッと参政党なんかが言うと、『そうなんだよ』、『そうそうそれ言いたかったんだよ』というのが今、ふき出してしまってるんじゃないですか。これちょっと危険な面もあると思いますよ。

ただ僕は、参政党が問題提起した外国人問題は、今までは政治家がきれいごとで何も言わなかった所を、やっぱり議論していかなきゃいけないところ。ちゃんと冷静に合理的に僕は議論をして行くべきだと思う。

情けないのは、参政党以外の既成政党が慌てて言い始めて、今まで言ってこなかったわけ。その建前とかタブーで。それが参政党とか言い出して、『うん』って有権者が言い出したもんだから、みんなが慌てて、なんか薄~く、もう今思いついたような話を一斉に言い始めてるわけ。情けないな本当に、国会議員は」

国会で議論された“外国人問題”には次のようなものがあります。

・外国の免許証を日本の免許証に切り替える
いわゆる外面切り替え。これが簡易にできてしまうので、逆走などの事故多発

・外国人が土地やマンションを購入
急に家賃が上がったり、無許可で民泊など

・高級ブランド品を購入し高額転売
消費税免税額は約2000億円

法律ルールが追いついていない現状が明らかになり、国会で議論されてきました。

■「これ国会で議論することか?」

しかし、橋下さんはこうした議論について、次のように指摘します。

【橋下徹さん】「外国人問題の外面切り替えの免許証問題とかってね、選挙で問うことですかと。どっちにしろ免許証のルールなんて厳格化しなきゃいけないし、免税品もリファンド方式といって空港で出国する時に返さなきゃいけないと、もうやらなきゃいけないし。不動産問題も民泊についても、僕推進したところもあるんですが、ルールが必要なんだったら住民との関係、ルール作らなきゃいけない。これ選挙で問わなくてもいいわけです。

僕は、外国人問題で選挙で問うのは、はたしてこれから少子高齢化を迎える日本が、ほっといたら6000万、70000万人になる国において、外国人をどのように受け入れるのか、それをどれぐらいのボリュームで受け入れるのか」

■日本の人口をキープするためには年間75万人の外国人を受け入れが必要

少子高齢化が進む日本で、外国人を受け入れなければ人口が大きく減少するという指摘があります。

外国人の入国者数から出国者数を引いた「入国超過数」によって、日本の2070年の人口がどうなるかを試算したデータです。

・ケース1: 2040年までの外国人入国超過数がゼロ人の場合、日本人の人口は7715万人になります。

・ケース2:現状通り年間16万人ずつ外国人が増えていった場合、日本人の人口は8699万人になります。

・ケース3:年間75万人ずつ外国人が増えていった場合、日本人の人口は1億2000万人になります。

【青木源太キャスター】「現状の1億2000万人をキープしようとすれば、毎年75万人の外国人を受け入れれば、この人口をキープできる。国のかたちを今後どうして行くのかということですよね」

【橋下徹さん】「色んな意見があるから、どれが正解ってないんですよ。僕は、外国人は日本の全体の大体2割~3割ぐらいまで、外国人を入れてもいいんじゃないかって。これ僕の意見。

これはドイツが今、大体30%ぐらいなんですよ。ただ僕は、外国人を無制限に入れるとかではなくて、日本のルールをしっかり守ってもらう、言葉も理解してもらう、文化も守ってもらう。でもやっぱり3割ぐらい入ってこないと、成り立たないんじゃないか。むしろ入ってくれた方が、日本が活性化するんじゃないかっていうのは僕の意見だけど、僕も極端」

一方、移民受け入れが進んでいるヨーロッパでは、難民問題をきっかけに、外国人の受け入れに反発も起きているといいます。

【関西テレビ 加藤さゆり報道デスク】「ドイツに特派員で行った時に取材したのが、移民政策。ドイツは戦後に労働力人口がかなり少なくなったので、政策としてトルコから移民を受け入れました。でも最初すぐには順応できなかったと。一番は統合政策っていうのがあって、やっぱり言葉なんですよね。言葉の教育を重視するようになってから、お互いにドイツ文化を理解をして、その社会で一緒に住むっていうことをして行かないと、うまくいかないという理解が広まったので、一時は良くなったんですけど、難民問題が起きました。急激に入ってきたんですよ。そうすると今度はまた社会が、それに順応できなくて、結局その反発から『国民を守ろう』と、右派政党が台頭してきたという流れは確かにありました」

【橋下徹さん】「難民問題は、メルケルさんが“きれいごと”やっちゃったんですよ。もう全部受け入れろって。やっぱ大手メディアの論調はそれ多いんですよ。もう全部受け入れろと。だから年間で100万人以上の難民を受け入れちゃって、もう今大混乱してますけどね」

スタジオでは日本でも外国人の受け入れが社会に与える影響について、議論となりました。

【青木源太キャスター】「3割入ってきた時に、社会の形がどうなるか予想できないという不安の人もいるわけじゃないですか」

【橋下徹さん】「そこを方向性を示して議論しなきゃいけない。だから僕ら両極端だけど、真ん中もあるわけですよね。『どうするんですか』というところを政治家が問うて、これを選挙で決めるのが本来の姿なんですね。こんなの(今議論されている外国人問題)は、選挙でやらなくても、かえりゃいいんだから。日本のこの国に外国人の皆さんに、どのように入ってきてもらい、どのぐらいのボリュームなのか。これを本当に決めないと、もう10年、20年、30年たったら、本当に日本衰退してきてますから」

(Q.日本政府は“移民”という言い方はしないですよね)
【橋下徹さん】「それもダメ。真正面からいかないと。駄目だったら駄目。入れるんだったら、入れる。中間だったら中間。ここを決めるのが選挙だと思う」

【青木源太キャスター】「それを話し合う上でも、正しい情報っていうのが非常に大事だと思います」

このように参院選の争点になった外国人政策について、20代でモデルの藤井サチさんは「争点になってよかった」と述べました。

【モデル 藤井サチさん】「何よりも争点になってすごいよかったと思うんです。日本がこれからどんどん人口が減っていくなかで、移民を受け入れるのか、受け入れないのか、ちゃんと議論する。その司令塔が遅かれ早かれあったほうが良いなと思ったのでよかったと思う。その上で、日本人にとっても、外国人にとってもいいルールづくりが進められたらいいなと思う。

ただ一方で、結構強いワードを打ち出している政党さんがいらっしゃると、それで『日本人の私、今、逆にないがしろにされてるのかな』と、ミスリードしてしまう場合もあると思うので、私たちも今、『すごい有権者試されてるなー』って思う。1つの情報を鵜呑みにせず、色んな情報を見極める力がすごく求められていると思います」

(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年7月16日放送)

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