子供を中心に感染する百日ぜきの新規感染者数が3週連続で過去最多を更新。
一方で、大人にも感染するあるウイルスにも注意が必要な状況となっています。
百日ぜきは、その名の通りせきが長引くのが特徴で、乳児が感染すると重症化して死亡する恐れもあります。
国立健康危機管理研究機構によりますと、7月6日までの1週間で報告された百日ぜきの全国感染者数は3578人。
前の週より200人以上増え、3週連続で過去最多となりました。
都道府県別では東京が277人で最も多く、次いで埼玉が254人でした。
感染拡大が止まらない百日ぜき。
東京都内のクリニックには15日も症状を訴える患者が訪れていました。
せきが止まらないという8歳の男の子。
百日ぜきが疑われるケースです。
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:
百日ぜきの抗原検査をさっき鼻の奥を拭ってしたら陽性がでました。小さい時とか新生児とか呼吸が止まる・吐くとか、えらいことになります。
検査の結果、やはり百日ぜきと判明しました。
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:
小さなお子さんが最も予備力も少なく感染に弱い。そして重症化しやすい。場合によっては、残念ながら命を落としてしまうケースもあるという点で要注意です。
百日ぜきの流行が続く中、「イット!」は16日、都内の保育園を取材。
すると、百日ぜきではない別のウイルスが流行していました。
キャンディーパーク保育園・益田知美施設長:
今まで勤務経験も長いんですけど、ここまでアデノウイルスの感染力の強さではやったのは初めてではないかというくらいはやっています。
アデノウイルスとは、別名「プール熱」とも呼ばれ、発熱・のどの痛み・結膜炎などの症状が現れます。
学校保健法の定めにより、主な症状がなくなったあと2日が経過するまで、幼稚園・保育園・学校に行くことはできません。
取材した保育園では16日朝、子供を連れてきた母親が入り口で引き渡す姿が見られました。
こちらの双子にはいずれも結膜炎などの症状が出たといいます。
7月、子供が感染したという別の母親は「医師から言われたのは、水でうつるのでお風呂を一緒にしないでほしいと。夜私が入ったら私も目がおかしくなって、結構すごい感染力なので」と話し、その感染力の強さに驚いたといいます。
感染予防のため手洗いを徹底し、遊び終わったおもちゃは保育士たちが1つ1つ消毒していました。
アデノウイルスに感染し、16日に職場復帰したという保育園の看護師は目に強い症状が出たといいます。
保育園勤務の看護師:
かなり目に強い症状がでて、すごくかゆかったのと痛みがともなって日常生活もきつい感じでした。自分がかかるまではアデノウイルスは子どもが主にかかると認識してたので、正直びっくりというか、大人でも感染力が強いので。
百日ぜきとは違い、アデノウイルスは大人も感染し発症します。
6月28日、発熱とのどの痛みを訴えてクリニックを訪れた成人患者が検査結果を告げられた際の様子です。
医師:
インフルエンザは陰性でした。アデノウイルス陽性ということでよろしいかと。アデノウイルスは結構熱がでて、割と長引くんです。高めの8度5分前後の熱が5日くらい続くということは結構あるので。
結果はアデノウイルス陽性でした。
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:
感染力が非常に強く、あっという間に感染が広がります。アデノウイルス感染症に対しては抗ウイルス薬というものは今のところ開発されていないので、いわゆる特効薬はありません。
アデノウイルスはアルコール消毒が効きにくいため、予防には次亜塩素酸ナトリウムによる消毒やこまめな手洗いが有効です。