心療内科は、前述の通り「ストレスが原因で起こる身体の不調」を診る病院。一方、精神科が扱うのは「脳の問題からくる心の不調」です。

幻覚や妄想などの症状が出る統合失調症、抑うつ気分や興味・喜びの喪失などが特徴であるうつ病、気分が高揚する躁(そう)状態と、うつ状態を繰り返す双極症(双極性障害)などは精神科で扱います。治療の中心は、薬の服用です。

心療内科と精神科は重なるところもあるが、同じではない(画像はイメージ)
心療内科と精神科は重なるところもあるが、同じではない(画像はイメージ)

ちなみに、うつ病はストレスのせいで罹患すると思われがちですが、実際にはストレス要因の有無に関係なく罹患するという特徴があります。脳内のメカニズムに起因していて、脳の中のセロトニンが減るなど、化学物質の変化などを指してうつ病と言います。心療内科でもストレスによる「抑うつ症状」を扱うことがあり、その症状を指して「うつ病」と呼ぶ場合もありますが、実際にはこうした違いがあるのです。

心療内科での治療は、患者さんごとの個別の背景や症状に合わせて進めていきます。薬だけでなくカウンセリングや行動療法などを組み合わせて試行錯誤しながら治療を行うのです。ときには、漢方薬を用いることもあります。特に、更年期の患者さんには漢方薬が有効な場合が多いですね。

生活リズムや食事、対人関係など、あらゆるものが治療の対象です。中には医師の介入が難しい部分もあるため、患者さんにも積極的に治療に関わっていただけるよう、しっかりと説明します。

心療内科医を探す方法

日本における心療内科の始まりは1961年です。九州大学医学部附属精神身体医学研究施設が附設され、池見酉次郎先生が初代教授として就任。1963年に精神身体医学講座に昇格し診療科名を「心療内科」として診療を開始しました。もともと、アメリカでは1940年代から「心と体は切り離せない」という考えが広まり、人間性心理学などが生まれました。池見先生や、日野原重明先生らが日本にその考えを持ち込み、心療内科という分野を築いていったのです。

そして1996年、ようやく「心療内科」が正式な標榜科(病院に掲げてよい診療科)として認められました。ただし、精神科の医師によるクリニックであっても精神科・心療内科と並列した看板を掲げる場合も多いです。