有名企業などをかたった偽広告の被害が広がっている。
番組では、“AIロボット犬”だという商品を購入してしまった男性を取材した。購入した男性のもとに届いたのは、広告とは似ても似つかない犬のおもちゃだった。
“AIロボット犬”を購入したら“昭和のおもちゃ”
“AIロボット犬”を購入した公認心理師・竹内成彦さん:
YouTube見てたら、本物の犬と間違うばかりの素晴らしく可愛い犬がいて。

6月、愛知・名古屋市に住む心理カウンセラーの竹内さんがYouTubeを見ていた際に表示されたのは“AIロボット犬”の広告動画。
今、SNSで様々なパターンの偽広告が確認されていて、被害を訴える声が続出している。

広告には、本物の子犬のようなロボット犬が登場し、「日本初のAI玩具犬」「ごはん不要、急速充電で使用可能」などと表示されている。

“AIロボット犬”を購入した公認心理師・竹内成彦さん:
ご主人さまの性格も読み取り、だんだん懐いてきて、いろんな芸を覚えていくという触れ込みだったので、即、買おうと思って買っちゃいました。

購入を即決し、約4500円を支払った竹内さんだが数日後、竹内さんのもとに届いたのは、広告とは似ても似つかない犬のおもちゃだった。

“AIロボット犬”を購入した公認心理師・竹内成彦さん:
ペットでもなんでもない、見た瞬間にオモチャと分かります。3歳くらいでも喜ばない、昭和のオモチャですよ。
SNSには、同様の被害を訴える声が続々と聞かれた。

“AIロボット犬”購入者:
あまりにもひどくて、キャンキャン吠えてるだけなので、そしたらネットで見たら、同じように思っている方がいっぱいいた。

この“AIロボット犬”、購入者が魅力を感じたと話す、ある“うたい文句”があった。
偽の広告動画では「これはソニーと東京大学が共同で開発したもので」と紹介している。

“AIロボット犬”を購入した公認心理師・竹内成彦さん:
東京大学とソニーの共同開発って言うから、これ間違いないなと思って買ったんですよ。やっぱりソニーと東大ってスゴいな~って思いましたもん。

偽広告に多く見られる実在の企業や団体名を使う手法。
そこで、“東京大学人工知能学部が発表した”などと名前を使われた東大を取材すると、「東大に人工知能学部はない」との返答があった。

さらに、共同開発をしたとされたソニーも関与を否定した。
専門家が見た“偽広告”特徴は?
偽広告であることが判明したこの広告動画をAIの専門家に見てもらった。

国立情報学研究所・越前功教授:
前半のは生成AIっぽい感じがします。USBチャージの画像とか生成AIっぽいですね。

「ロボット犬らしく見せる部分には生成AIを使った映像を使用しているのでは」とする一方で、こんな指摘もあった。

国立情報学研究所・越前功教授:
これはリアル(本物の犬)ではないですかね。白い犬が出てくるあたりから。リアルな犬も含めたものに見えますよね。
次から次へと様々な商品で発覚する偽広告。
被害者が多いサーキュレーターを巡っては、業者に返金を求め、やり取りを続けている購入者もいた。

サーキュレーター購入者:
LINEでやりとりが会社の方とできまして、これは完全に偽物だから、違うから返品したいと書きました。

地道な交渉の結果、“1000円を返金する”との回答を引き出したものの、いまだ入金がないという。
サーキュレーター購入者:
1000円で全然納得いかないですけど、もう終わらせたかった。
一方、弁護士は偽広告の業者と直接交渉をすることについては危険もあると指摘する。

橋下綜合法律事務所・去来川祥弁護士:
基本的に海外の会社が日本の会社を名乗ってやったりするので、その場合だと、むやみに連絡するとさらに被害が拡大したりするので、警察や消費者センターに相談する方がいいと思います。
(「イット!」 7月15日放送より)