皆さんは「ぶつかりおじさん(おばさん)」に遭遇したことはあるだろうか。SNSにはさまざまな目撃情報が書かれているが、特に「駅にいた」というケースが目立つ。
これはどうしてなのだろう。鉄道のマナー問題を社会学の視点で研究する、日本女子大学人間社会学部の教授・田中大介さんに、ぶつかる心理や対策を聞いた。
スマホとSNSで存在が可視化された
田中さんによれば、ぶつかりおじさんという言葉が浸透したのは、ここ7~8年くらいだそう。
「昔からぶつかったことによるトラブルはありましたが、意図的にぶつかったとみられる事例がスマホなどで撮影され、SNSの普及で『自分がした経験と同じだ』という声が広がりました。存在が可視化されたと思います」

そして、駅でのぶつかりは「急いでいた、不注意によるもの」と「駅の構造や環境を利用した、悪意があるもの」に分けられるそうだ。
前者は歩きスマホが増えることで目立つようになった、というが、今回は後者の“悪意があるケース”の心理や対策を紹介したい。
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ぶつかりおじさんが駅にいる理由
悪意があるぶつかりおじさんはなぜ、駅にいることが多いのか。田中さんは「逃げやすい環境だと思われている」と話す。

「駅は人の流動性が高く、階段も多いので、ぶつかった後は人混みに紛れやすいです。また、改札を抜けると追えなくなってしまいます」
そのため、人の動線が交錯する次の場所では、遭遇しやすいのではないかという。
・階段やエスカレーターの近く
・複数の路線がある、改札の近く
・電車の乗降口の近く