新潟県上越市の中川幹太市長は7月9日に会見を開き、兵庫県三田市で食べた「コメはまずい」などと発言したことを謝罪し、撤回しました。前回の失言からわずか1年で繰り返された不適切発言…会見で語られたこととは?一方、三田市の田村克也市長の怒りは収まらず、10日に「謝罪されたからといって受け入れない」と強い怒りを露わにしました。
謝罪会見の内容は?「猛省している」
7月9日に新潟県上越市で急遽開かれた会見。渦中の人物・中川幹太市長は冒頭で、事案の経緯と謝罪の思いを述べた。

「この度は私の失言により、兵庫県三田市ならびに三田市民の皆さん、関係者の皆様に大変不快な思いをさせてしまったこと、また多大なるご迷惑をおかけしてしまったことに心から深くお詫び申し上げます。本当に申し訳ございませんでした。一部報道にありました私の発言は、7月1日の委嘱状交付式の懇談の場において、日本酒が話題に上がる中で、私が三田市に住んでいたこと。また、山田錦の酒米としての評価が高いことを伝えた際に、30年以上前に食べていたお米の感想として、どこの産地のお米か分からない中でおいしくないと話したものであり、7月3日の専門学校の特別授業においても同様に当時食べていたお米の感想を述べたものであります。こうした発言はどこの産地か明確ではありませんが、他の産地のお米を貶めることであり、おいしい米づくりに日々懸命に取り組まれている三田市含め、全国の農業者関係者の皆様への敬意と配慮に欠く軽率できわめて不適切な発言であったと猛省しております。多感な時期を過ごした思い出の場所であり、大切なふるさとである三田市について不適切・不見識な表現を用い侮蔑にあたるような発言をしてしまったこと、弁明の余地もございません。三田市の田村市長様からの抗議状を拝読し、関係者の皆様の心の痛みを改めて痛感している次第であり、昨日まずは謝罪状をもってお詫び申し上げたところです。今後は三田市産を含む兵庫県産米の評価の回復。三田市ならびに関係者の皆様の信頼の回復に向け、精神誠意尽くしてまいる所存でございます。なお、私が発言してしまった事実は消すことができないと思っていましたが、可能であれば発言を撤回させていただきたいと考えております。この度の私の発言により多くの皆様に多大なるご迷惑、ご心痛をおかけしまったことに重ねて深くお詫び申し上げます」
繰り返された不適切発言…その理由は?
何度もお詫びの言葉を並べた中川市長だが、不適切な発言をしたのは、今回が初めてではない。
2022年には、商店街の将来を考える会議で上越市にある直江津商店街について「直江津の商店街はない」と発言し、商店街関係者から抗議を受け謝罪。

23年には、市内にある私立高校2校に関して不適切な発言を。24年6月には、市議会で企業誘致に関する答弁の中で「工場では高校卒業程度のレベルの人が働いている。頭のいい人だけが来るわけではない」などと発言し、議会は辞職勧告決議案を可決。不信任決議案も提出された(不信任決議案は反対多数で否決)。
市議から「今度また同じような発言をしたら、即辞職という考え方でよろしいか」との問いに対し、「今回のことを重く肝に銘じながら、不退転の決意で職責を果たしていくということだと考えている」と答えていた。
市によると、この不適切発言の後、市長はコミュニケーションの専門家の講習を5~6回ほど受けたという。それでも繰り返された不適切発言。
その理由について、中川市長は会見で「一つは相手に対する配慮が足りていなかったと思うし、もう少し謙虚に取り組まなければいけなかった。これを受けてこれからも努力していかなければと思う」と話した。
「どこの産地かは分からない」苦しい弁明も
発言の意図について問われた中川市長は「私の言いたかったことは、やはり上越のお米はおいしいんですよということを伝えたかったことだった。ただ、引き合いとして他のところのものを不適切な発言で評価してしまったことは関係の皆さん、三田市民、農業者関係者の方に謝罪しなければならない。いずれにしても、どこの産地か分からないお米の中で、私としては生産されている方関係の皆さんに申し訳ない発言をしたと思っている。ですので、そういった方々に謝罪を繰り返していかなければならない」と弁明。

一方で、「三田市のコメがまずかったとは言っていない。自分の家で食べていたお米はおいしくなかったと表現したということ。私としては表現方法を間違えていたと思っている。私としては表現方法を間違ってしまった、正確に伝えることができなかった。田村市長は産地がどこであろうが批判したことそのものが、向こうとしては生産者に対するものになってはいけない発言だったというふうに伝えられている。ただ、私の認識とすると30年以上前に食べたものなので、結局、産地がどこだったのかということは、いまだに確認はできないと思っている」と産地は分からなかったとも強調した。
三田市長は怒りを露わに「謝罪を受けれることはできない」
一方で、この謝罪会見を全て見たという三田市の田村克也市長は「当然ながら、ここで謝罪をされたからといって受け入れることはできない状況」と話した。

中川市長は7月中に三田市を訪れ、直接謝罪する方針だが、田村市長は農業関係者への謝罪の場を設定する考えだ。
「今後、三田米の信用回復、そして三田米を作られている農業者・関係者に対して信頼回復を最優先にやってほしい」
中川市長の失言を受け、三田市には「上越市に謝罪させるべき」などとする問い合わせが寄せられ、中には上越市民・新潟県民を名乗る人からの謝罪もあったという。
コメどころ新潟の首長が発した不適切な発言…県をまたいで波紋が広がる中、中川市長には信頼回復に向けた誠意ある対応が求められる。
(NST新潟総合テレビ)