トランプ政権との関税交渉を巡る石破首相の「なめられてたまるか」という発言が波紋を広げています。
与野党からも反論が相次いでいます。
石破首相の口から9日に飛び出したのは、「これは国益をかけた戦いです。なめられてたまるか」と、アメリカのトランプ関税を巡る強気の発言です。
この強気発言の背景には何があるのでしょうか。
7月7日、日本への関税を25%に引き上げるとする書簡を石破首相に送ったトランプ大統領。
トランプ大統領は9日、新たに8カ国に対する書簡をSNSで公表。
その中で、ブラジルには50%の関税をかける方針を明らかにしました。
書簡では、クーデターの計画などで起訴されたボルソナロ前大統領を巡る現政権の対応を批判。
対するブラジル側は、アメリカに報復関税を課す可能性を示唆しています。
トランプ大統領は7日以降、日本を含む22カ国に新たな関税率を通知していますが、ブラジルの50%は最も高い数字です。
世界に波紋が広がっているトランプ関税。
日本への影響も強く警戒される中、石破首相は演説で「なめられてたまるか」「たとえ同盟国でも正々堂々言わなければならない」と強調した上で、「アメリカに最大の投資をしている国はどこですか。日本が最大の投資をして最大の雇用を生んでいるのです」と続けました。
さらに、「国内からああだのこうだの足を引っ張って、どうして国益が実現するんだ。みんなで心を一つにして日本の国益を守らなければならない」と述べ、日本の国益を守るために党を超えて協力すべきだと訴えたのです。
石破首相の強気発言の真意について、自民党の中堅議員は「あえてこういう強気な発言をしたのだと思う。同盟国の日本に対して手紙だけで一方的に25%を通知するトランプ氏の行動はあまりにも失礼。こっちは国益をかけた交渉をやっているわけだから」と話します。
一方で、自民党関係者からは「『なめられてたまるか』という勇ましい言葉の先に何らかの合意があるならいいと思うが、現状無策。そもそも内閣総理大臣が他国の首脳に対して使う言葉として適切なのか疑問」という冷ややかな声も聞かれました。
さらに、立憲民主党の幹部からも、「なめるなと言って何とかなる相手ではない。今後に展望が見えないと自白したようなものだ」などの厳しい意見が出ています。
また、国民民主党の玉木代表は取材に対し、「相手のいない場で、しかも国内の選挙対策として激しい言葉を使うことは交渉をより困難にし、国益に反する。厳しい交渉の実態を国民に説明すべきだ」と答えました。
トランプ大統領の対日25%関税に対する有効な手だてはあるのか。
与野党党首の考えをまとめました。
石破首相は、新たな期限となる8月1日に向け、国益を守り協議を続ける考えを示しています。
与党・公明党の斉藤代表は政府に対し、「安易に妥協することなく最大限の交渉を続けてもらいたい」と求めています。
一方、立憲民主党の野田代表は演説で、「赤沢大臣が7回も訪米したがゴールが近づいてくるのではなく、ゴールが遠のいている」と述べました。
日本維新の会の吉村代表は、「きちんと協議して協議を前進させるんだという姿勢。バックアップ体制が必要」だとしています。
国民民主党の玉木代表は記者団に対し、「自動車の国内販売の促進、一律の消費税の減税など思い切った国内対策が必要」だと回答。
共産党の田村委員長は、「アメリカの言いなりでいいのか。もう貿易のルールお構いなし」だとしています。
れいわ新選組の山本代表は、「アメリカと1対1でやってはダメ。アメリカ対グループで先頭に日本が立つべき」だと指摘しています。
参政党の神谷代表は、「『投資するから』『コメを買うから』とかいう話ではない。交渉のやり方を変えたほうがいい」と訴えています。
社民党や日本保守党からも懸念の声が上がっています。
そうした中、アメリカのホワイトハウスは関税交渉を主導するベッセント財務長官が19日に大阪・関西万博を訪問すると発表。
日本側は赤沢大臣が接遇するということですが、交渉が行われるのか注目されます。