2025年7月20日に行われる参議院選挙の投票に向けて、選挙の争点を巡る岩手選挙区の各候補の考えについてお伝えします。
「少子化対策」と「年金」についてです。

参院選岩手選挙区に立候補しているのは届け出順に、NHK党の新人で元会社員の吉田博信氏(59)、立憲民主党の現職・横澤高徳氏(53)、参政党の新人で会社員の及川泰輔氏(46)、自民党の元議員・平野達男氏(71)の4人です。

日本の最も深刻な課題の一つが「人口減少」です。
2024年の国内の出生数は68万6061人(2023年比-4万1227人)で、統計開始以来、初めて70万人を下回りました。

県内の2024年の出生数は4896人(2023年比-536人)で、過去最低となっています。

こうした中、政府は少子化対策の一環で子育て世代の経済的負担軽減を図ろうと、2025年度から高校の授業料の無償化を拡充し、公立高校では支援を受ける際の所得制限がなくなりました。

また、2026年度からは私立高校も支援を受ける際の所得制限がなくなり、授業料に充てる支援金も39万6000円から45万7000円に引き上げられ、ほぼ無償化されます。

一方で「高所得世帯まで無償化するのは不公平」という声や「増税につながるのでは」との懸念の声も上がっています。

人口減少に歯止めをかけるための子育て支援。
参院選岩手選挙区の各候補に考えを聞きました。

NHK党の吉田博信氏は、私立高校の無償化には反対で、出産・子育て環境の充実を主張します。

N党・新 吉田博信氏(59)
「安易に私立高校の無償化とかにお金を使うのではなく、実際の小さい子どもに、あるいは子どもを産みたいと思われるような環境にしてほしい」

立憲民主党の横澤高徳氏は、高校だけでなく専門学校・大学の無償化や学校給食費の無償化を訴えます。

立憲・現 横澤高徳氏(53)
「将来子どもたちが専門学校・大学に行きたいと言った時に、家計の経済状況に左右されることなく、自分の行きたい進路に挑戦できるような教育の無償化を進めていきたい」

参政党の及川泰輔氏は、子ども1人につき10万円の教育給付金を出す政策を公約に掲げています。

参政・新 及川泰輔氏(46)
「0歳から15歳まで1人当たり、お子さんに月10万円の教育給付金を出すという政策を考えているので、学びたいものを学べる環境づくりを整えていきたい」

自民党の平野達男氏は、政府主導の少子化対策の実績をアピールするとともに、人口減少に適応した社会づくりが大切と主張します。

自民・元 平野達男氏(71)
「大事な事は、人口減少になかなか歯止めがかからないことを認識しながら、人口減少に適応した社会づくりも同時並行的に進めていく必要がある」

将来に暗い影を落とすもう一つの大きな課題が「年金制度」です。

年金は基礎年金と、会社員が加入する厚生年金からなります。
このうち、基礎年金は、2024年厚労省が行った年金の財政検証で「給付水準が30年後に3割減る」という数字が示されました。

就職氷河期世代などは非正規雇用で厚生年金に入っていない人が多く、基礎年金が3割減ると生活できないという懸念が生じています。(厚労省の財政検証より)

こうした中、6月の国会で自民・公明・立憲が合意し、厚生年金の積立金を活用して基礎年金の給付水準を底上げする法案が成立しました。

一方で、厚生年金の積立金だけで基礎年金を底上げすることはできず、財源論は先送りとなっています。

各候補に、この年金制度改革について考えを聞きました。

NHK党の吉田博信氏は、厚生年金を活用した年金制度改革を批判し、制度の抜本的な見直しを訴えています。

N党・新 吉田博信氏(59)
「厚生年金を国民年金に流用するという、会社員としては納得できないやり方。賦課制度は改めて自分で自分の年金を積み立てていく方向にすべき」

立憲民主党の横澤高徳氏は、非正規雇用が多い就職氷河期世代の年金給付を安定させるなどの年金制度改革を進めると訴えます。

立憲・現 横澤高徳氏(53)
「物価の上昇とともに、もらえる年金額も生活水準にあった水準にしていく。就職氷河期時代の皆さんの将来の不安を安心に変えていく年金制度改革は進めていきたい」

参政党の及川泰輔氏は、自公政権の年金政策を批判し、保険料の不足分の穴埋めに税金を投入すべきと主張します。

参政・新 及川泰輔氏(46)
「これまでの政権の政策のつけが全部ここに回ってきていると感じていて、それは何かというと少子化対策がうまくいっていない。(収支の)アンバランスのなかで一生懸命つじつまを合わせようとしているが、しっかり税金を投入して、差異の部分は税金を投入して保障しなきゃダメだと思う」

自民党の平野達男氏は、厚生年金を活用した基礎年金の底上げを図るとともに、一人一人の所得の向上が大事と訴えます。

自民・元 平野達男氏(71)
「基礎年金については厚生年金のお金を使ってやる方向性は決まったし、その通りでいい。ただ合わせて一人一人の所得を上げていく、現役世代の所得も上げていくことで、保険料負担率は変えない。税率も変えないで、その社会保障財源を賄っていく」

日本の未来を決める参院選挙の投開票日は7月20日です。

岩手めんこいテレビ
岩手めんこいテレビ

岩手の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。