平年より18日早く梅雨明けし、連日、厳しい暑さが続いている2025年の鹿児島。そんな中、夏の甲子園の代表を争う全国高校野球選手権鹿児島大会が7月5日に開幕した。炎天下で試合に臨む選手、そして応援の保護者や運営サイドも熱中症対策を徹底している。

1日2試合に減らし、試合開始時間を繰り上げ 県高野連の対応策

2025年夏の甲子園では、暑さ対策として8月5日の開会式は午後4時から行い、試合を午前と夕方に分ける2部制が前年より拡大される。
一方、県予選を主催する鹿児島県高野連も、暑さ対策の新たな取り組みを始めている。2025年から1日2試合とし、第1試合の開始時間を例年より1時間早い、午前9時とした。

県高野連は第一試合の開始時間を早め、暑さ対策
県高野連は第一試合の開始時間を早め、暑さ対策
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手元の温度計で38.1℃ でも球児は全力プレー

7月8日、鹿児島市の平和リース球場と鴨池市民球場では、真夏のような日差しの中、県予選の1回戦、4試合が行われた。

正午ごろの平和リース球場。スタンドでは記者の手元の温度計が38.1℃を示していた。
「スタンドにいるだけで汗ばむ陽気の中、グラウンドでは球児が全力プレーをしています!」
マウンドのピッチャーは、額の汗をユニフォームで拭って投球。打者が打った鋭いライナーを野手がスライディングキャッチすると、スタンドにいる保護者らから大きな歓声が上がった。

まさに炎天下
まさに炎天下

試合の合間に首を冷やす「冷やしているから全力プレーができる」

平和リース球場の第2試合に出場した国分中央高校の選手は首を冷やして熱中症対策をしていた。部員が、ベンチに運び込まれたクーラーボックスを開けて見せてくれた。中には、首を冷やすための冷却剤がいっぱいに詰められている。国分中央高校が使っているのは、保冷効果のあるリングを首に巻くタイプのもので、あらかじめ冷蔵庫などで冷やして使う。3年生の川瀬聖智選手は、「練習試合の合間も練習の合間もつけていました。冷やしているからこそ、次に全力プレーができる」と、かなり効果を感じている様子だ。

クーラーボックスいっぱいの冷却剤
クーラーボックスいっぱいの冷却剤

長袖 帽子 塩分補給 首を冷やす 応援する側も万全な対策

また、対戦相手である鹿児島高校のスタンドには、長袖をまとって帽子をかぶり、声援を送る保護者の姿が。取材してみると、塩分補給のあめをなめたり、首を冷やしたりしているという。「首にかけるとひんやりします。全然違う、2つ持ってきました」と、こちらも首に巻くタイプの冷却剤が。スタンドで応援する人たちも暑さ対策は万全のようだ。

応援する側もフル装備で暑さ対策
応援する側もフル装備で暑さ対策

試合中に選手や審判の「給水タイム」を設定

鹿児島県高野連では、試合中の選手や審判の「給水タイム」を設定した。電光掲示板には「選手・審判給水中」と表示され、場内アナウンスでも「スタンドの皆さんも水分補給を行ってください」と呼びかけている。

さらに、高野連はより体を冷やしやすいとされる、シャーベット状の清涼飲料水を球児らに配る取り組みも始めた。
県高野連・山内昭人理事長は「去年は試験的に少し試した。審判にも飲んでもらった。審判で熱中症になった人はいなかったです」と、熱中症対策として手応えを感じているようだ。

熱中症対策に効果あり
熱中症対策に効果あり

日程が進めばスタンドの熱中症対策もより重要に

“暑い”グラウンドで“熱い”戦いが展開されている、夏の甲子園鹿児島県予選。県高野連・山内理事長によると、日程が進むにつれ、より注意が必要なのはスタンドでの応援だという。チームが勝ち上がると、全校生徒による応援を行う学校もある。グラウンドに比べ風の弱いスタンドは「密」になりさらに熱気がこもりやすくなる。長時間、炎天下にいることに慣れない生徒もいると予想されるが、試合が盛り上がれば応援のテンションも上がり、ついつい水分補給も忘れてしまいがち。応援を盛り上げる吹奏楽部員や応援団も同様だ。

熱気がこもりやすいスタンド こまめな水分補給を
熱気がこもりやすいスタンド こまめな水分補給を

順調に日程が進めば、決勝は7月26日、午前10時5分プレーボール予定だ。スタンドで観戦する側もしっかり熱中症対策をとり、暑い中、全力でプレーする選手たちに熱のこもった声援を送りたい。

(鹿児島テレビ)

鹿児島テレビ
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