鹿児島の拉致被害者家族、市川健一さん夫妻が10日、鹿児島市で講演しました。

市川さん夫妻にとって実に半年ぶりとなった今回の講演。

2人は拉致問題の風化を課題として挙げ、弟の修一さんらの帰国に向けて早期解決を訴えました。

拉致被害者家族・市川健一さん(80)
「生きているか死んでいるか生死が分からない、これほどつらいものはない」

鹿児島市の谷山サザンホールで講演を行ったのは、市川健一さんと妻、龍子さんです。

市川健一さんの弟、修一さんは1978年8月12日、増元るみ子さんとともに夕日を見るために訪れた日置市の吹上浜で北朝鮮に拉致されました。

10日の講演会は民生委員からの依頼を受けて実現したもので、健一さんは約70人の民生委員を前に政府が拉致問題の解決に動かないもどかしさや、一日でも早い日朝首脳会談の実現などを訴えました。

市川健一さん
「私たちが1番恐れているのは風化すること」
「皆様のお力をどうか私たちにお貸しください。よろしくお願いします」

また、龍子さんは修一さんらが拉致された時の記憶を語りながら、いまだ修一さんが帰ってこないことについて、心境を語りました。

拉致被害者家族・市川龍子さん(79)
「弟、修一にせめて残りの人生をふるさとで鹿児島で過ごさせてやりたいと思うのは贅沢な話でしょうか」

講演を聞いた参加者の中には涙を流して聞き入る人もいて、市川さん夫妻の話に心動かされているようでした。

参加者
「実際自分の子供がそうなった場合に夜、寝ることができるのかなと」

市川健一さん
「また今年も1年間何も進展がなかったな。本当に悔しい。政府はしっかりと受け止めてもっと被害者が帰って来られるように行動を起こしていただきたい」

修一さんらは今も帰国を果たすことができない中、8月12日で拉致から47年を迎えようとしています。

鹿児島テレビ
鹿児島テレビ

鹿児島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。