障害の有無などに関わらずだれでも楽しむことができるよう配慮された遊具<インクルーシブ遊具>の設置が熊本県内の公園で徐々に増えています。時代とともに変化する公園を取材しました。
熊本空港から東へ車で10分弱のところにある西原村の運動公園。
その中にどんぐり広場があります。
去年4月にできたこの遊び場の特徴はインクルーシブ遊具と呼ばれる、障害の有無などに関わらずだれでも楽しむことのできるよう配慮された遊具が置かれている点です。
この日は熊本市にある2つの施設から子どもたちが遊びにきました。
駐車場からのアクセスがよく、段差がほとんど無いため、車いすやベビーカーなどでも負担なく移動することができます。
一人で座ることが難しい子でも身体を支える器具の付いたブランコなら大丈夫。
また滑り台のついた複合遊具は車いすなどからの乗り移りがしやすいようにもなっています。
「全てを包み込む」という意味のインクルーシブ。
その名の通り障害がある子も、ない子も同じ遊具で楽しい時間を過ごすことができます。
【児童発達支援放課後等デイサービス STELLA管理者・理学療法士 山内一正さん)
「熊本市内から近いので時々来ている」「いろんな子どもの声が聞こえたり」暑い寒いとか、外に出るだけでも経験が大きい」
【福祉センター AQUA管理者・作業療法士 松本慶使朗さん】
「(他の子と)一緒の空間で遊ぶことができてすごくいい関りができるなと思う」
【子ども】
「お友達と遊ぶのがとっても楽しかったのでまた来たいです」
インクルーシブ遊具を設置する公園は県内で徐々に増えていて、天草市やあさぎり町、大津町などにもあります。
設置が進む背景とは?
熊本県の<インクルーシブ教育に係る検討委員会>の委員長を務める熊本大学の菊池哲平教授は、「障害者差別解消法の施行とバリアフリー法が整ったことがあるのではないか」とし、今後の課題を次のように指摘します。
【熊本大学 菊池哲平教授】
「施設を作っただけではダメかなと思う。(障害のある子、ない子が)どう工夫すれば一緒になって楽しいよねとできるか、もう一歩進んだ工夫をどう提案できるかが必要と思う」
また遊具に期待することとは?
【熊本大学 菊池哲平教授】
「小さいときにインクルーシブ遊具を使って一緒に障害のある子と遊ぶ機会を持つと、その子たちが大人になったときに障がい者と一緒に共生社会を作るという上での
基盤になると思う。それが一番インクルーシブに大事な、期待できるポイントだと思う」
【浜田友里子リポート】
「私も2人の子供を育てる母です。身近にある公園にもインクルーシブ遊具がある
といいなと感じますが、こうした遊具は簡単に壊れるものではないので、頻繁に取り換えられることはありません。また新たに公園を作るということもそう簡単ではありません。そうした理由もあり、インクルーシブ遊具が急激にいますぐ増加するというのは難しいようです」
実際に西原村の「どんぐり広場」を始め、天草市にある大矢崎緑地公園のインクルーシブ遊具も新たな広場の整備に伴い設置されています。
徐々に広がりを見せるインクルーシブ遊具。
楽しく安全に遊び成長する機会に。公園も時代と共に変化しています。