暑さも本格化し海や川のシーズンが到来する中、すでに全国では小学生や中学生が死亡する水難事故が相次いでいます。
事故を防ごうと9日、霧島市の小学校では海上保安庁による出前授業が行われました。
また、海や川で気をつけるべきポイントについて専門家を取材しました。
霧島市・国分小学校のプールの6年生の児童たち。
水着ではなく普段着姿のままで水の中に入り、思うように体が動かない感覚を体験しました。
「なんか重い」
「重い!」
「重すぎ!重!」
授業を教えるのは水難救助のプロ、海上保安庁の機動救難士です。
機動救難士
「楽な姿勢で浮いて助けを待つとなるとまずは体力を使わない。暴れたりしないから口の中に水が入ることも少ない。楽な姿勢で待ちましょう」
生き残るすべは、体力を温存しながら最も楽な姿勢で浮き続けることでした。
児童たちは、空のペットボトルの浮力を利用するなどしていざというときの対応を学びました。
児童
「とっても服が重くて、水着じゃないとどれだけ水の中が危険か分かった」
「溺れている人がいても無理に助けないでペットボトルなどを投げたりして(助ける)。自分が溺れたときも楽な姿勢で浮けるようにしたい」
海上保安庁鹿児島航空基地・森慧機動救難士
「夏休み。楽しくなって海や川に子どもだけで行ってしまうこともあると思うが、大人と行ってもらえれば、事故を未然に防ぐことができると思います」
6月から7月にかけて全国で子どもが亡くなる水難事故が後を絶ちません。
6月26日には福岡市の海岸で小学6年の男の子が溺れ死亡したほか、7月に入ってからも神奈川県の海水浴場で男子中学生が死亡しました。
海や川のシーズンが本格化するのを前に、注意すべきポイントを鹿児島大学水産学部の西隆一郎教授に聞きました。
まず川で遊ぶ際に注意すべきことは?
鹿児島大学水産学部・西隆一郎教授
「(流れが)速いところとゆったりしたところの速度の差が川の方がはっきりと出ている。(流れが)ゆっくりしたところ、流速が遅いところで安全に楽しんでいたつもりでも流れが速いところに入りやすい」
川で危険な場所はどこか?
遊ぶ前にあることをすれば簡単に分かるといいます。
鹿児島大学水産学部・西隆一郎教授
「少しでも高いところがあれば見下ろすような形で見てください」
例えば、こちらの川の画像。
流れが速い場所がわかるそうです。
西隆一郎教授
「水が流れるところが岩で挟まっていると、だんだん水面が少し波打って、気泡が出始める。実は意外と高いところから見ると分かりやすい」
一方、海の場合は見下ろせる高い場所が見当たらないこともありますが、波がより砂浜に押し寄せている場所は深くなっている可能性があるといいます。
西隆一郎教授
「沖に流れが出やすいところは砂浜では海底が少し深めになっている。陸側に海岸線が後退している場所は水の中もそうなっている。避けた方がいい」
そして、海で多いのが離岸流による事故。
離岸流とは陸地から離れるように沖に向かう海水の流れでスピードが速く、沖に流され事故になるケースが報告されています。
もし、巻き込まれてしまった場合にはどうすればいいのでしょうか?
西隆一郎教授
「自力で流れに逆らわないで横に泳いで(離岸流を抜けた)その後に陸岸を目指すのが重要」
海や川のレジャーを楽しむために事前に危険を認識しておくことが重要といえそうです。