子どもたちはあと10日ほどで待ち遠しい夏休みですが、受験をする子どもたちには決戦の夏でもあるようです。
そんな中、ある学習塾が行う夏合宿が今、話題を呼んでいるんです。

9日の「ソレってどうなの?」テーマは“22泊23日の勉強夏合宿、なぜ人気?”です。

進学塾「ena」を運営する学究社が8月、小学校6年生と中学校3年生の受験生向けに、静岡県内の施設で勉強合宿を実施します。

期間は実に22泊23日。
8月2日から24日までの異例の長期間です。

そのキャッチフレーズは「人生で一番勉強する夏」「圧倒的勉強時間」。
どんなスケジュールなのか見ていきましょう。

まずは午前6時に起床して散歩のあと、「復習タイム」と呼ばれる自習をしてから朝食です。
その後、お昼まで授業があり、昼食のあとは午後5時まで授業。
そして夕食のあと、さらに午後10時半まで授業や自習が続きます。
そして、午後11時の就寝時間まで合計12時間、みっちり勉強。

これが3週間以上続きます。
ちなみに、テレビやスマートフォンの持ち込みは禁止となっています。

まさに「勉強漬け」と呼べる異例の夏合宿。
enaの河端真一学院長に申し込み状況を聞いてみると「今のところ、(定員)300名なんですが、ほぼ満員。まだ7月の初めなので、ここから参加したいという方も中にはいる。中学校3年生の場合だとクラブ活動などあるので、まだ決まっていないという方もいるが(埋まると思う)」といいます。

希望する保護者は授業の様子や食堂、廊下などをオンラインで視聴できるということです。

期間中には勉強だけではなく、カレー作りや星空散歩などで息抜きをしながらチームワークを高めるレクリエーションもあるそうです。

そして気になる費用ですが、食費や宿泊費などを含めて約50万円です。
この金額、高いとみるか安いとみるのか、街で親御さんたちに伺いました。

「私自身も中学受験で、夫も中学受験。それできたから(子どもも)それで行こうかなと。2泊3日は分かるが、何十日もは考えられない。ちょっとさみしい」「勉強時間をしっかり確保できる点ではいいと思うが、子どもに息抜きの時間や親(祖父母)に会って遊んだり、家族と遊んだりという時間も取ってあげたい気持ちはある」といった感想があった一方で、「本人が行きたいと言うなら『やっといで』と言うかも。22泊もして勉強も教えてもらって50万円だったら出す人はいると思います。そこまで『うわっ』というのではないかも。塾って結構高いので」「結構この子、塾を楽しんで行ってる方だったので。毎日『行ってくる!』みたいな感じで元気に行ってた。22泊とかでも多分楽しんで…」「楽しめる気はする。自分1人で勉強するより、合宿行った方が楽しい」「友達と一緒に切磋琢磨して、授業も普段の先生じゃなくて違う先生の授業受けたりして、それが刺激になって、プラスの要素が多いんじゃないか」など、賛成の声も多く上がりました。

色々な意見がありますが、子どもたちはどうでしょうか。
別の塾に通う子どもたちに聞いてみると、「強制されている感じがする。個人的に、強制されてやる勉強は頭に入ってこないし、自分からやる勉強の方がはかどる。時間設けて(スマホ)使えるとかならいいが、全く使えないのはイヤ」「いい高校を目指すなら、その意思があるなら特に自主的に勉強した方がいいと思う。そういうの(合宿)に行かなくても、家でもできる」と、かなりしっかりした答えが返ってきました。

30年以上にわたり子どもたちを教えてきた先生はどうでしょうか。

植田塾・植田一幸塾長:
教育者の立場からすると、生徒たちが勉強する環境はたくさんつくりたい。ある意味うらやましい部分もあるが、子どもたちのことを考えると、自由を3週間奪われた状態で勉強しなきゃいけないので、それが集中につながるかどうかは疑問。

合宿を主宰する学習塾「ena」の河端学院長は、長期間の合宿の狙いについて「正しい(勉強の)やり方をほとんどの受験生がやっていると思う。その上で言うと、どれだけ絶対量を積み重ねたか。去年の子どもたちも、つらかった・苦しかったは一つもない。友達になって、休み時間はワーワーやって、受験勉強もしっかりやっている」と話してくれました。

実は2024年までの夏合宿は、10泊11日だったのです。
では、なぜ倍以上の22泊に変更したのかというと、「保護者からの要請が非常に高かった。『もっと長くやってくれ』と。“家庭の中では受験生はその子だけ”という場合が多い。他の家族の方が気を使わなきゃならないし、受験生自身も気が散ることもあって、それ(合宿)が合理的だろうと考えていただいてるんだろう」だということです。

「夏を制する者は受験を制す」とも言いますが、受験生もその親御さんも、体調をとにかく大事に、どうか頑張っていただきたいと思います。

フジテレビ
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経済部
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「経済部」は、「日本や世界の経済」を、多角的にウォッチする部。「生活者の目線」を忘れずに、政府の経済政策や企業の活動、株価や為替の動きなどを継続的に定点観測し、時に深堀りすることで、日本社会の「今」を「経済の視点」から浮き彫りにしていく役割を担っている。
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財務省や総務省、経産省などの省庁や日銀・東京証券取引所のほか、金融機関、自動車をはじめとした製造業、流通・情報通信・外食など幅広い経済分野を取材している。