国防に不可欠とされる陸上自衛隊の輸送機オスプレイ。

9日から佐賀駐屯地に配備されましたが、福岡県内上空を飛ぶ可能性があり、周辺には複雑な思いを抱いている人も多いようです。

9日、佐賀空港(佐賀市)に到着したのは、千葉県の木更津駐屯地に配備されていた陸上自衛隊のオスプレイ1機です。

9日から空港の西側に新設された佐賀駐屯地に配備され、8月中旬までに合わせて17機が到着します。

佐賀駐屯地へのオスプレイ配備について、中谷防衛大臣は…

◆中谷 防衛大臣(8日)
「オスプレイの佐賀駐屯地への配備は、南西地域を含む島しょ防衛能力の強化を実現する上で極めて大きな意義を持つものであります」

今回配備された機体は、島しょ部が侵攻された際に長崎県に駐屯している専門部隊・水陸機動団を迅速に輸送する役割を担います。

軍事活動を活発化させる中国を念頭に、南西諸島の防衛力強化に「必要不可欠な機体」とされていますが、今回の配備によって福岡県内にも影響を受ける地域がー

佐賀空港から直線距離で4キロほどの位置にある柳川市です。

市によりますと、オスプレイは原則、有明海の上空を飛ぶとみられていますが、天候不良などの場合には柳川市の上空を飛行するといいます。

市民に話を聞いてみるとー

◆柳川市民
「沖縄の防衛でしょう。いいことじゃない」
「自分としては決まったことに従う」

一方でこんな意見もー

◆柳川市民
「いらないんじゃないですか、あんな危険なやつは。落ちたりするじゃないですか」

オスプレイをめぐっては、死亡事故などの重大事故が繰り返し起きていて、2023年には鹿児島県の屋久島沖でアメリカ軍の機体が墜落し、乗っていた8人が死亡しています。

柳川市内でくすぶる不安ー

2023年に開催された九州防衛局などによる市民説明会で、アメリカ軍機も佐賀空港を一時利用する可能性があると明らかにされると…

◆柳川市民
「在日アメリカ軍が(佐賀空港を)使用するということは一言も書いていません。なぜですか?黙っておくつもりだったんですか?」
「国防、分かりますよ、自衛隊が必要なことも分かりますよ。災害派遣の時、どれだけ地元の方が喜んでいるか、(自衛隊を)みんな見ていますよ。しかし、その話とオスプレイの佐賀空港配備の話は違いますよ」

紛糾する中、舞台の緞帳が下ろされ、説明会は打ち切られました。

◆中谷 防衛大臣(8日)
「引き続き、地元の皆さまのさまざまな声に真摯に耳を傾け、丁寧なご説明を尽くしてまいりたいと考えております」

こうした中、いよいよはじまった佐賀駐屯地へのオスプレイ配備。

◆抗議集会に参加した人たち
「オスプレイ来るな!」
「戦争を始めるな!」

佐賀空港の前で開かれた抗議集会には30人あまりが参加し、飛行の中止を訴えました。

中には柳川市議の姿も。

◆新谷信次郎 柳川市議
「有明海のノリをはじめとした漁業に対する影響を心配している。国民の生活を守るならば、佐賀空港周辺、そして柳川の住民、猟師さんたちの生活安全をまず守ること。それが保証されない限り、国の安全とかありえない」

安全面に加え、オスプレイによる騒音や駐屯地から出る排水対策も課題となる中、国防の重要性と不安感のはざまで、柳川市が大きく揺れています。

テレビ西日本
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